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 ■ 仕事としての翻訳                  井口 耕二
 ■ 電子辞書SHOPからのお知らせ
 ■「山本ゆうじの翻訳道具箱」(その61)        山本 ゆうじ
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 ■ 仕事としての翻訳                  井口 耕二

 ◆仕事の始め方

 ●登録

 トライアルに合格すると「登録」です。登録翻訳者のデータベースにあ
 なたのことを書いたページが追加されるわけです。コーディネーターさ
 んが仕事を振る相手をさがしてパラパラめくっているとき、あなたのこ
 とが目に留まれば、晴れて仕事の打診がくる、となります。

 登録手続きは翻訳会社によって異なります。

 一番多いパターンは、送られてきた登録用紙に必要事項を記入して返送
 するというものでしょう。改めて書類を提出することのない翻訳会社も
 あります。面接します、という翻訳会社もあります。私は、面接なしの
 ところでも、「登録手続きを兼ねて訪問します」と訪ねていきます。ホ
 ンネは、敵情視察を兼ねて、です。

 面接では、登録用紙に記載する内容を話し合いで決めていきます。特に、
 分野とレートは、お互いに話をしながら書き込んでおいた方がなにかと
 いいはずです。そのときの応対から、その翻訳会社が強いのはどの分野
 であるのか、ある程度はわかるからです。逆に翻訳会社は、面接中、翻
 訳者の性格や人間性などを知ろうとすることでしょう。

 登録用紙の内容は、名前や住所など、「履歴書に書いてあるからわかっ
 てるだろうがぁ」と思ってしまう内容も多いのですが、これはまあしか
 たがないでしょう。履歴書から登録用紙への転記もたくさんになると大
 変ですからね。

 ◎得意分野や専門分野

 得意分野や専門分野は必ず聞かれます。前にも書きましたが、あらかじ
 め考えて決めておきましょう。

 ポイントは、「今後、得意分野や専門分野としてやっていこうと心に決
 めている分野は何ですか?」と聞かれたと思って明確に答えること。
「いや〜、わたし、これから仕事を始めるわけでぇ……まだ、実際の仕
 事としてやったこと、ありませんしぃ……一応、○○をやりたいとは思
 ってるんですがぁ……でもぉ……」みたいなことは間違ってもやらない
 ように。面接している方は、「アンタにどういう分野の仕事を振ったら
 いいのかわかんないだろうがぁ。もう知らん!」と思ってしまいます。

 得意分野や専門分野以外でも、これからのことを聞かれたときには、み
 んな、「どうしたいと思っているのか」を聞かれたと思ってはっきり答
 えるべきです。

 記入して送り返す場合も、空欄にしないで必ず記入しましょう。

 ◎レート設定

 レートの設定は、いろいろと微妙で難しい問題です。

 まず、一般的なレートをムック本などで調べておきましょう。記事によ
 っていろいろな値が出ています。業界として決まった値があるわけでは
 なく、分野によって、実力によって、そして翻訳会社の台所具合によっ
 て、それなりの幅で違いがあるからです。あくまで「目安」であること
 に注意しつつ、だいたいの値を頭に入れておきましょう。

 翻訳会社の台所具合というのは、安く売っているところだと翻訳者への
 支払いレートも安くなるなどの話です。このような翻訳会社の場合、
 レートを高めに設定すると仕事があまりきません。もちろん台所具合が
 どうであれ、料金は安めの方が仕事はもらいやすくなります。しかし、
 レートを途中から値上げするのはいろいろと難しく、最初に安すぎる設
 定にすると収入が増えません。最終的には自分の収入を増やしたいわけ
 ですから、レートをあまり安く設定してしまうと、自分のクビを絞める
 ことになります。
 
 初めてトライアルに合格したような場合には、先方の言い値でもしかた
 がありません。ただ、調べておいた相場と比較してあまりに安い場合は、
 その理由などを聞いてみることをお勧めします。「いや〜、これが相場
 ですよ」と言われるようなら、なるべく早く他の受注先に乗りかえる努
 力をすべきでしょう。相場を知らずにビジネスをしている翻訳会社なん
 て危なっかしくてしかたありませんし、相場を知った上で相場よりも安
 いレートを相場だと言ってくるようなところでは翻訳者を大事にしてく
 れるはずがありませんから。

 経験者の場合、既存の取引条件と比較してどうかということも気になる
 でしょう。今までの取引価格よりも安いレートを提示されたら、「他社
 からはXX円をいただいているのですが……」と言ってみる手がありま
 す。あっさり「じゃあ、同じレートで行きましょう」となる場合もあり
 ますし、「当社ではこれがいっぱいです」と断られることもあるでしょ
 う。

 この交渉でベースとなるのがトライアルです。「あのトライアルであれ
 だけの訳文を出せる翻訳者は少ないでしょ?」「あのトライアルであの
 訳文じゃ、○○円以上では買えません」とやりあって落としどころを探
 すわけです。もちろん、翻訳者も翻訳会社もはっきりそう口にするわけ
 ではありませんが、要はそういうことなのです。経験者だからトライア
 ルなしでとなれば、翻訳会社としては安めのレートに抑えておかないと
 怖いことになります。安いレートならまだしも、高いレートで仕事をだ
 してボロボロの訳文が返ってきたりしたら悲惨ですからね。

 翻訳者としては自分の実力にみあう範囲でギリギリ高いレートを翻訳会
 社から引き出したいわけですが、そのとき一番の交渉材料となるのがト
 ライアルです。だから私は、トライアルをしてくれと頼むことにしてい
 るわけです。

 トライアルを出したら、「この程度ではこれが限界」と安いレートしか
 提示されなかったら……その翻訳会社にとって自分の価値はそれだけだ
 ということです。翻訳会社によって強い分野は異なりますし、今、どう
 いう翻訳者が欲しいのかも異なります。評価基準だってまちまちです。
 同じ翻訳に対し、A社、B社、C社がまったく違う値段をつける。そん
 なものです。安いレートしか出てこない場合、それでもいいから登録す
 るか、XXでなければやらないと突っぱねる(そして次をあたる)かは
 あなたの選択になります。取引条件の交渉なのですから、ビジネスライ
 クに行きましょう。なお、言葉遣いはあくまで丁寧に。

 ☆本編及びバックナンバーはこちら↓
 http://tran.blog.shinobi.jp/Category/16/

【著者プロフィール】
  井口 耕二(いのくち・こうじ)a.k.a. Buckeye
  技術・実務翻訳者、翻訳フォーラム共同主宰、社団法人日本翻訳連盟
  常務理事
  高品質・高価格をめざして翻訳の現場で日々努力するとともに、オン
  ライン・オフラインの各種記事、セミナーなどさまざまな場で翻訳者
  という立場からの提言や主張を行っている。
  著書に『実務翻訳を仕事にする』(宝島社新書)、訳書に『スティー
  ブジョブズ−偶像復活』(東洋経済新報社)、『ウィキノミクス−マ
  スコラボレーションによる開発・生産の世紀へ』(日経BP社)などが
  ある。
  ホームページURL: http://buckeye.way-nifty.com/translator/
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    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 新OS「Windows 7」で今までの辞書が使えるかどうかについて、とりあ
 えずわかった分は以下の通りです。

 ・「EPWING版」用検索ソフト「ViewIng Ver2.43/2.44」
   メーカーによる動作保証はされていませんが、ほぼ問題なく使用で
   きます(私もやってみました)。詳細は下記をご参照ください。
   (「Vista」についての説明ですが、同じだそうです)
    http://www.est.co.jp/products/viewing/vista.htm

   なお、それ以前のバージョンは「Vista」以降には未対応ですが、
   Ver2.43/44へ無償バージョンアップできます。(上記サイトの最後
   に記載されています)

 ・「Jamming」
   作者のホームページによれば、特に問題なく使用できるそうです。
    http://dicwizard.jp/jamming.html

 ・「ロゴヴィスタ電子辞典版」
   対応しています(製品によりアップデートが必要です)。
    http://www.logovista.co.jp/detail/detail_jiten_viewer_wm.html

 ・「HD辞典シリーズ」付属の検索ソフト「DDviewer」
   ユーザー登録すれば、対応している最新バージョンに無償アップデ
   ートできます。
    http://www.densijiten.co.jp/news/press.php?disp=detail&nid=182

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 ■「山本ゆうじの翻訳道具箱」(その61)

 英語で「日本」を説明する――「さっぱりした」は英語でなんていうの?

 この11月に美術検定2級を受けてきました。検定では古今東西の美術の
 知識が問われるのですが、ご存じのように日本から西洋への浮世絵、
 ジャポニスムの紹介、そして逆に日本への西洋美術の受容という相互の
 異文化交流は、非常に興味深いものがあります。また美術史を学んでい
 ると、ばらばらであやふやだった知識の断片が、パズルのようにぴった
 りはまりこんでゆくのが快感です。

 ところが、英語で「日本」について説明するのは重要なことなのですが、
 なかなか簡単ではありません。みなさんの中には、プライベートや仕事
 で、外国人を案内する方や通訳をされる方もおられるでしょう。私も先
 日、下北沢でドイツとフランスの友人をそれぞれ案内してきました。そ
 んなとき、英語で日本の文化を説明できますか? ちょうど祭りが行わ
 れていたのですが、「いき」「わび」「さび」とはなにか、それぞれ説
 明できますか? 「さっぱりした」「すっきりした」は英語でなんと言
 うでしょう。落語、浄瑠璃とはなんでしょうか? このような日本につ
 いての事柄をきちんと自分の言葉で(英語で)説明できれば、自分自身
 の知識も整理できます。日本は大きく変化してきましたし、これからも
 変化するでしょうから「唯一絶対の日本的なもの」があるわけではない
 ですし、そのような主張は不毛でしょう。ただ、異なる価値観を持つ人
 に、新たな視点を紹介して少しでも理解してもらえれば、紹介するほう
 もされたほうもうれしいものです。

 NHKでは、”BEGIN Japanology”(総合テレビ)など英語で「日本」を
 説明するコーナーがいろいろあります。
 http://www.nhk.or.jp/nhkworld/english/tv/japanology/
 全部英語なので気圧されるかもしれませんが、だまされたと思って観て
 ください。今までにない見方を知ることができます。この番組は日本に
 興味がある外国の人が見るだけでなく、日本人が日本を紹介するときも
 役立ちます。もちろん英語の練習にも役立ちます。

 NHK Worldの英語ニュースなども役立ちます。
 http://www.nhk.or.jp/nhkworld/

 内容は身近な日本の話題なので、やはり英語の聞き取り練習としても役
 立ちます。NHKの英語ニュースはiTunesなどからポッドキャストとして
 も視聴できます。以下の記事を参考にして、キーワード「NHK」で検索す
 るとすぐに見つかります。すてきな声の日本人アナウンサーさんが英語
 で読んでくれるので、親しみがわきます。
 http://www.tsuhon.jp/levelup/levelup_29.html

 NHKはずいぶんくだけてきましたが、海外のメディアと比べると良くも
 悪くもまじめなようです。ユーモアなどを取り入れると、世界の人の日
 本人に対する見方が変わってくるかもしれませんね。

 さて、何かを紹介・説明するには「定義」が重要です。英語圏の教育で
 は、定義はあらゆる学問の根本です。論述問題でも「〜は何か説明しな
 さい」というパターンがよくあります。事典や辞書でも、各項目につい
 て過不足のない定義から始まり、その後に補足的な説明が続きます。残
 念ながら、日本人はこの「定義」が苦手なことが多いようです。

 ご存じWikipediaもまた、日本の事柄を英語で説明する際の参考になり
 ます。日本語のページの左側から、英語など他の言語の記事を参照でき
 ます。ただし、言語にかかわらず、Wikipediaにはまったくのでたらめ
 がもっともらしく書かれていることがよくあるので、注意が必要です。
 特に日本については、書き込む人が限定されており、偏った見方しか紹
 介されていないこともあります。そんなときは、さまざまな視点を紹介
 するために、率先して英語で書き込みをすると、英作文の練習にもなり
 ます。だれかに何かを説明するというのは、自分がより良く理解するた
 めの最良の手段です。

 美術、建築、文学、映画などの文化を理解し、また他人に説明するとき
 は、宗教の基礎知識が必要です。宗教について知るために信者になる必
 要はありませんが、日本でも仏教、神道は美術や建築と深くかかわって
 います。たとえば「密教」を英語で何というでしょうか?
 またキリスト教の基礎知識があれば、比較対象として説明することがで
 きます。このような知識は一夕一朝に身につくものではありませんので、
 ふだんから関心を持つ必要があるかもしれません。冠婚葬祭、観光での
 神社・寺院・教会の訪問など、ふだんは縁がなくても宗教について考え
 る機会は意外とあるものです。特にこれから年末にかけてクリスマス、
 除夜の鐘、初詣という、日本ではおなじみ(そして外国人には謎の)
 3宗教(的)行事の季節です。英語でどう説明するか、ぜひ考えてみて
 ください。

 ご質問、ご感想、ご要望、ご意見などがありましたら、
 tran@nichigai.co.jpまでどうぞ!

《このコラムは、音声認識ソフトで入力し、音声読み上げにより校正しています》

【著者プロフィール】
   山本 ゆうじ(やまもと・ゆうじ)
   言語・翻訳コンサルタント。国際学校 UWC イギリス校で二年間学び、
  筑波大学を経て、シカゴ大学人文学修士号を取得。
  日英仏語で、美学・比較文学・芸術学・文章技法などを学ぶ。

  transPC  【実務翻訳】	  http://transpc.cosmoshouse.com/
  秋桜舎  【文芸談義/文芸翻訳】http://cosmoshouse.com/

 『世界に通じる学校――国際学校 UWC の異文化理解教育』発売中
  山本ゆうじ〔編著〕2004.4 アルク刊 A5/199p \2,310(税込)
  http://www.bookpark.ne.jp/cm/pudding.asp?content_id=ALCB0025
   ↑mixiやブログなどもありますので、よろしければこちらもどうぞ!

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 ■ 後 記

 先日、東名高速上郷SAのトイレを利用したところ、一つの個室に「オ
 ストメイト」という表示がありました。「オストメイト」とは人工肛門・
 人工膀胱保有者のことを指すのですが、その看板を見たときにはどうい
 う意味なのか理解できませんでした。ようやくわかったのはその個室の
 設備を見てからのことでした。
 で、このわかりづらいカタカナ語は何だ、と思いました。
 しかし人工肛門を装着せざるを得ない方々の不自由さ、心労を考えると、
 敢えて万人がわかるような表示にしていないのかという考えもよぎりま
 した。
 だが、こういうわかりづらい言葉を使っていたのではこの先も世間の無
 理解、心ない対応をなくすことはできないのではないかとも思えます。

 ともあれ、オストメイト対応トイレは全国の公共施設に増えているそう
 です。こういったことによって、オストメイトの方々の外出への不安が
 軽減されることを願う次第です。
                              (青)
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 ※ 発行人 森本浩介  ※ 編集スタッフ 青木竜馬/竹村雅彦
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