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 ■ 仕事としての翻訳                  井口 耕二
 ■ 翻訳読書ノート44                                    北田 敬子
 ■ 電子辞書SHOPからのお知らせ
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 ■ 仕事としての翻訳                  井口 耕二

 ◇情報収集

 インターネットの普及により、さまざまな情報が比較的容易に手にはい
 るようになりました。翻訳に関係する情報も、ほとんどのものはウェブ
 で手に入ると言えます。ただし、種々雑多ですから、情報を適切に判断、
 取捨選択しなければなりません。

 ◎情報提供者による情報の違いを見抜く

 情報の内容を判断するにあたり、まず第一に気にすべきは情報提供者に
 よる情報の違いです。

 情報を提供している人にはそれぞれの思惑があります。翻訳者向けの情
 報だからといって必ずしも翻訳者にとってベストな情報を提供している
 とはかぎりません。何かを販売したいという思惑があれば、悪い点には
 触れず、いい点だけを強調するように書かれている可能性があります。
 いい点まですべて疑う必要はありませんが、少なくともなにがしかの欠
 点もあるだろうと想定し、その部分の情報も収集して総合的に判断する
 などの手順が必要になります。

 直接的に販売する立場になくとも、製品の使い方を教えているなど、そ
 の製品の普及が収入の前提となる場合も同様です。

 雑誌も、雑誌自体の販売だけでなく広告の収入がなければ立ちゆきませ
 ん。つまり、広告主を批判するような記事は基本的に掲載できないこと
 になります。特集記事などは、広告と連動している場合もあります。た
 とえば翻訳支援ソフトの特集記事を組んで、記事で取りあげる翻訳支援
 ソフトの企業から広告を出してもらうわけです。その号は特集記事に興
 味がある人が買う可能性が高いので経済原則からいって当然のやり方で
 しょう。同時に、広告が前提となる以上、記事に書けることと書けない
 ことが生じるのも自明です。

 ちなみに、この原稿は日外アソシエーツさんのメールマガジン向けに書
 いています。つまり、日外さんが販売されている辞書なんてダメだよ……
 とは書けないわけです。幸い辞書は「たかが辞書。信じるはバカ、引か
 ぬは大バカ」であり、ダメと書く必要がないのでいいのですが(余談な
 がら、だから私は日外さんのメルマガに原稿を書いているわけです。翻
 訳会社や翻訳学校のメルマガだと支障が出る部分があったりしそうです
 から)。

 翻訳学校も、よく、「いいことしか言わない」との批判を浴びます。学
 校に行ったからプロ翻訳者になれるわけではなく、実際になれるのは一
 部だけだと。これも、情報提供者による情報の違いであり、世の中で普
 遍的に行われていると言っていいことにすぎません。

 翻訳会社も、翻訳者と利害が一致しているケースと相反しているケース
 があり、それがさまざまに影響します。たとえば、「ウチが求める翻訳
 者像」。よく見かけるトピックですが、そうか、そういう翻訳者になる
 のがいいんだと考えるのは早計でしょう。翻訳会社側の状況が変化した
 ら「ウチが求める翻訳者像」も変化します。翻訳会社としては、その時
 々で「ウチが求める翻訳者」が集まればいいわけで、それがあなたでな
 ければならない理由はありません。

 同じ翻訳者が提供する情報ならすべて信じていいのでしょうか。そうで
 もありません。善意で書かれたもの、本人が自分の心覚えで書いたもの
 は、少なくとも書いた本人が正しいと信じていることが書かれています。
 でも、世の中、悪意をもっていろいろな情報を流す人もいます。善意で
 書かれたものも、書いた人と自分を取りまく状況が違えば必ずしも自分
 に合わないケースがあります。結局、最後は自分で判断するしかないの
 です。

 そう、「自分で判断」するのです。すべて受けいれる姿勢もダメならす
 べてを否定する姿勢もダメ。情報提供者の立場と思惑を推測し、自分の
 立場や進みたい道を勘案して、どの部分を利用し、どこを捨てるのか判
 断するわけです。

 ちなみにこの能力、翻訳を仕事とする上で必要なものだと思います。元
 文書の書き手の立場と思惑、翻訳を発注した人の立場と思惑、情報の受
 け手となる人々の立場と思惑、この三つの兼ね合いで選ぶ訳語や表現な
 ど、訳文の調子を調整すべきだからです。この三つの関係、一般翻訳で
 はとても大きく変動します。ローカライズなどは基本的に変化しません
 が、それでも細かい部分は案件によって揺らぐものです。

 ☆本編及びバックナンバーはこちら↓
 http://tran.blog.shinobi.jp/Category/16/

【著者プロフィール】
  井口 耕二(いのくち・こうじ)a.k.a. Buckeye
  技術・実務翻訳者、翻訳フォーラム共同主宰、社団法人日本翻訳連盟
  常務理事
  高品質・高価格をめざして翻訳の現場で日々努力するとともに、オン
  ライン・オフラインの各種記事、セミナーなどさまざまな場で翻訳者
  という立場からの提言や主張を行っている。
  著書に『実務翻訳を仕事にする』(宝島社新書)、訳書に『スティー
  ブジョブズ−偶像復活』(東洋経済新報社)、『ウィキノミクス−マ
  スコラボレーションによる開発・生産の世紀へ』(日経BP社)などが
  ある。
  ホームページURL: http://buckeye.way-nifty.com/translator/
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 ■ レファレンスクラブ「R360ショップ」からのご案内
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 全国のライブラリアンを中心とした皆さまに好評の情報サイト“レファ
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 ●「遅筆堂文庫物語」(遠藤征広著)→謝恩特価985円(税込)
  http://www.reference-club.com/fs/nichigai/gr17/gd125

 ●「ある図書館相談係の日記」(大串夏身著)
                  →謝恩特価1,352円(税込)
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 ●「沖縄を深く知る事典」(「沖縄を知る事典」編集委員会編)
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 ただ今、R360会員募集中です。登録のメリットは、1) お買いもの
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(これもポイントが付きます)、3) お買いもの時に住所・氏名の入力
 の手間が省けること、などです...取り敢えず。

 少しずつ商品のバラエティも増やして参りますので、ご期待ください。

                             (竹)

 R360ショップ:http://www.reference-club.com/
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 ■ 翻訳読書ノート44                                    北田 敬子

「詩人たちからの贈り物」

 遠い昔、学生時代に講演を聞いた。東大から講師が来るというので、緊
 張して座っていたら温厚な紳士が登壇してこう言った。「英文学の主要
 な源泉は三つあります。聖書とシェイクスピアと、マザー・グースです。
 日本の学者はたいそう熱心にシェイクスピアを論じるけれども、マザー・
 グースを詳しく研究する人は、あまりいません。しかし、英語圏の人々
 が幼い頃から口伝えに聞き覚えて生活の端々に登場するナーサリー・ラ
 イムを知らずして、英語を真に理解することは出来ません。」私は密か
 に「源泉の二つは無理そうだけれど、マザー・グースなら、手が届くか
 も」と思ったものだ。平野敬一先生の謦咳に接した唯一の機会だった。

 平野氏によって開かれた扉は、その後日本に幾度かの「マザー・グース」
 ブームを招来した。1000編にものぼろうかという伝承童謡の全てが日本
 に紹介されたわけではないが、嚆矢を放った北原白秋の足跡を継ぐ詩人
 たちによって、児童書のコーナーに翻訳詞華集が常時並ぶようになった。
 とりわけ谷川俊太郎の訳業は群を抜いている。大学を卒業してどうやら
 少し稼げるようになった頃、私は全集『マザー・グースのうた 第1集〜
 第6集』(谷川俊太郎 訳 イラストレイション 堀内誠一 草思社 1975)
 を揃えた。薄い絵本の一冊一冊に愛着がある。それをコアにして内外の
「マザー・グース本」を集めるようにもなった。「童謡」とはいえ、
「マザー・グース」はメロディのついた歌ばかりではない。ライムであ
 るから、韻を踏み、意味以上に音を楽しむことば遊びと言った方が当た
 っているものも多い。音がことばを呼び、常識を覆すナンセンスの領域
 に詩は突入する。子どもは笑ったり怖がったり神妙になったりして、絵
 を食い入るように眺める。いや、子どもばかりではない。

 源泉どころか、支流からも遙かに離れた荒野をさまよう私であるが、確
 かに「マザー・グース」とは色々なところで出会う。ジョイスの作品を
 読んでいて、思わずニヤリとしたこと数知れず、日常の表現でも「誰が
 殺した?」とくればコマドリの詩が思い浮かぶ。谷川との共同作業から
 出発して独自の訳を出した和田誠の作品集『オフ・オフ・マザー・グー
 ス』(筑摩書房1989)、『またまた・マザーグース』(同 1995)は流
 石に作詞家の作品集らしく音とリズムに拘り続け、どうしても日本語で
 脚韻を踏もうという意欲作ばかりで思わず笑いが漏れる。自作のイラス
 トではなく18, 19世紀英米の木版画を加工したという挿絵が、谷川・堀
 内組とはまた違った味を出している。こうなると、大人の楽しみである。

 日本でも公立の小学校で英語を教えることになった。だがくれぐれも
「マザー・グース」は教訓的な子ども向けの詩ではないことを銘記した
 い。いっそ日本の詩人たちからの贈り物の訳詞でうんと遊ばせてから、
「英語ではね」という順序も有りではないかと私は思う。

 ☆本編及びバックナンバーはこちら↓
 http://tran.blog.shinobi.jp/Category/4/

 【著者プロフィール】
   北田 敬子(きただ・けいこ)
  東洋学園大学・現代経営学部教授
  東京女子大学英文科卒業後、東京都立大学修士課程英文学専攻修了。
  バージニア大学教育学部にて在外研究。
  専門は英語文学、言語とコミュニケーション
  ホームページURL http://www.kitada.com/keiko/
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 ■ 電子辞書SHOPからのお知らせ

 ★「Oxford English Dictionary on CD-ROM」新版の情報
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「Oxford English Dictionary on CD-ROM Ver.4.0」について、オックス
 フォード日本法人からの新たな情報です。
 発売日はまだ確定ではありませんが、今のところ6月中旬の予定で進ん
 でいるそうです。予定価格は
   通常版       \40,000(税込)
   アップグレード版  \15,000(税込)
 です。
 アップグレード版は「Ver.2.x」以降をお持ちの方が対象となり、
「Ver1.x」のお客様には通常版を購入いただくことになります。またイ
 ンストール時には旧バージョンのデータディスクが必要です。
 なお、「Ver.3.1.1」へのアップグレード版は在庫がある限り販売して
 いますので、旧版をお持ちの方はお問い合わせ下さい。

 ★「岩波イスラーム辞典 CD-ROM版」新発売
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 第56回毎日出版文化賞を受賞した「岩波イスラーム辞典」のCD-ROM版で
 す。翻訳には直接関係ないと思われるかもしれませんが、日本人には馴
 染みのないこの分野、海外の文章を読んでいて「ん??」と思ったとき、
 お役に立つかも。 

  「岩波イスラーム辞典 CD-ROM版」\9,450 → 特価 \8,505(税込)

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  ※連載毎に読み返せるので新たな発見があります。
 ※コラムに対するご感想・ご意見お待ちしております。
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 ■ 後 記

「GWに大阪のアメリカ村に行き、彼の地で大人気だといわれているアイ
 スドッグを食べてきました」。

 説明や脚注の多い文章は煩わしいものです。しかし説明を抜きにして
「分かる人だけが分ければいい」という態度もいただけません。要はバ
 ランスなのでしょう。
 で、もし上の(不親切な)文章を米国中西部在住・農業ボブさん(75歳)
 に英語で説明しようとしたら大変でしょう。「ナヌ? 金色の一週間?
 OSAKAちゅうところにアメリカがあんのか。村じゃねえぞバカにすんな。
 なんだその凍った犬って?」と。

 さて、アイスドッグです。熱々の揚げパンにアイスクリームが挟まって
 おりました。日本人同士でも理解し難いかもしれません。
                              (青)
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