┏┌┌┌
    ┏┏┌┌  読んで得する翻訳情報マガジン
    ┏┏┏┌ 〜トランレーダー・ドット・ネット〜
    ┏┏┏┏         No.189/2009.4.17

  ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
  ┃      春、新たに勉強を始めませんか?       ┃
   ┃―――――――――――――――――――――――――――┃
   ┃ * 翻訳・語学のためのオンラインCD-ROM辞書専門店 *  ┃
   ┃      ★ http://www.tranradar.net/ ★      ┃
  ┃  パソコンのデスクトップに辞書を並べれば準備万端  ┃
   ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
 
 ━━━━━━━   コンテンツ・メニュー   ━━━━━━━━━
 ■ 仕事としての翻訳                  井口 耕二
 ■「山本ゆうじの翻訳道具箱」(その57)        山本 ゆうじ
 ■ 電子辞書SHOPからのお知らせ
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ■ 仕事としての翻訳                  井口 耕二

 ●高付加価値化

 仕事としての翻訳をステップアップしようと考えたとき一番大事なのは 、
 実は、「高付加価値化」です。

 翻訳者の仕事における最大の付加価値は翻訳です。だから、目指すべき
 高付加価値化は、まず第一に翻訳品質の向上となります。ここまで、ス
 テップアップとして実力アップの方法をいろいろと見てきたのは、この
 ためです。

 今回は、翻訳の品質以外の付加価値について簡単に紹介します。

 翻訳に伴う作業で翻訳と一緒に頼まれることが多いのは以下のような項
 目です。
 ・DTP編集
 ・テクニカルライティング
 ・コピーライティング

 翻訳会社経由ではまずありませんが、ソースクライアントと直接取引す
 るような場合は、印刷用の版下作成から印刷、製本なども関係してくる
 可能性があります。

 ◎DTP編集

 クライアントが社外に提出する文書の場合、翻訳のあと、DTP処理、印
 刷用の版下作成、印刷、製本という処理が続きます。社内文書の場合で
 も、DTPだけは行うことがよくあります。このなかで簡単なDTP編集は、
 翻訳と一緒に翻訳者に発注されることが比較的よくあります。

 DTP編集といってもレベルはさまざまです。それこそ、翻訳原稿をWord
 または一太郎のファイルで納品して欲しいというだけのことで、テキス
 トファイルをWordや一太郎に読み込んで保存すればOKという場合もあり
 ます。技術系では、単位などの上付文字(平方メートルのm2の2の部分
 など)や化学式の下付文字(H2Oの2の部分)の書式設定くらいをすれば
 いいという場合もよくあります。書式設定だけといっても、数が多けれ
 ば大変です。後は表とかフローチャートとか……だんだん面倒になって
 きますね。よく使われる書式設定の方法は、実際に操作して覚えておく
 べきです。間違っても、改行とスペースで段落のインデントを整えるな
 どしないこと。基本さえもわかっていませんと宣言するに等しいですか
 ら。

 最近は原文自体がWordなどで渡され、それを上書きする形で納品するケ
 ースが多くなっています。そのような場合、表組みなどは元ファイルの
 ものが生かせます。とは言っても、原文と訳文の長さの違いから細かい
 調整が必要になったりしますから、DTP的な編集方法は一通り、勉強し
 ておく必要があります。原文を作った人が素人で、改行とスペースで段
 落のインデントを作ってあったとしても、訳文ではきちんとインデント
 設定をして返すべきですし。

 上書き翻訳が多く、かつ、けっこう面倒なのが、PowerPointです。プレ
 ゼンテーションなどでよく使われるため、翻訳の案件もそこそこ多くあ
 るのです
 が、少ない言葉で表現されていて翻訳しにくいことが多く、編集も面倒
 だからと避ける翻訳者も多いと聞いています。それだけに、たとえば私
 のように「だからこそおもしろい」とPowerPointを好む翻訳者は重宝さ
 れたりします。

 ◎テクニカルライティング

 翻訳というのは、よくもわるくも原文から離れられません。もちろん、
 言語による文章構造の違いなどは翻訳の段階で吸収し、ターゲット言語
 としてすなおに読める文章とするわけです。でも、原文に書いてあるこ
 とをばっさり切り落としたり、原文にない部分を大幅に補足したりした
 方がターゲット言語の文書としてよくなることもあります。

 こうなると、もう翻訳というレベルではありません。ターゲット言語
(英日翻訳なら日本語)で文書を書き起こすテクニカルライティングと
 いうべき作業になります。

 ここまで翻訳者が踏み込むことはあまりありません。その文書が説明し
 ている製品などを目の前にせず、想像だけでできる仕事では基本的にな
 いからです。

 ただ、本来的な翻訳から一歩踏みこむ程度、原文に書いてあることを切
 り落としたり原文にない言葉を補足したり、段落内の構造を変化させた
 りくらいまではやることがあります。テクニカルライティング的な翻訳
 というところでしょうか。もちろん、勝手にやるのではなく、発注元と
 意識あわせをした上で行います。

 翻訳作業においては、どこをどう変化させるのか、考えなければならな
 いことが格段に増えます。そのため、対応しない、あるいは対応できな
 い翻訳者が大半です。やりすぎると勝手訳になるなど簡単でもありませ
 ん。早い段階から手を出すと、「手が荒れてしまう」おそれもあります。
 いわゆる翻訳としては危険な領域だという意識を持ち、注意して進む必
 要があります。

 ◎コピーライティング

 テクニカルライティング的な翻訳からさらに踏みこむのが、コピーライ
 ティング的な翻訳です。

 パンフレットの翻訳などでは、キャッチコピーを訳す必要があります。
 産業翻訳では基本的に情報の伝達を主眼としますが、キャッチコピーの
 場合、情報を伝えてもあまり意味がありません。それよりも、原文のキ
 ャッチコピーの狙いを把握し、その狙いがターゲット言語でも実現でき
 るように改めてコピーライティングを行うつもりで訳す必要があります。

 テクニカルライティング的な翻訳も通常よりも手間がかかりますが、コ
 ピーライティング的な翻訳の手間はその比ではありません。1文に何時
 間もかかることさえあります。キャッチコピーの翻訳は単価をベースと
 した通常の料金とは別に設定するべきでしょう。かける時間に自分の時
 間単価をかけたものが翻訳者側の目安になると思います。

 コピーライティング的な翻訳は、テクニカルライティング的な翻訳より
 もさらに危険な領域に踏みこむものです。時間もかかりますし、最終的
 に時間あたりの収入も必ずしもいいものとならなかったりします。ただ
 し、翻訳を工夫した、という満足感は強く得られることが多いでしょう。
 また、コピーライティング的な翻訳ができるようになると、表題が上手
 に訳せるというメリットもあります。キャッチコピーほどではないにせ
 よ、表題というものも一言に内容や想いを凝縮させていることがよくあ
 るからです。

 ◎料金について

 通常の翻訳作業に加えてエキストラの作業を行う場合には、その分の料
 金ももらうようにしましょう。

 Wordの上書き翻訳を前提に翻訳単価が決まっているとすれば、PowerPoint
 の場合には追加で編集費をもらうのが基本です。発注側も、自分たちで
 やるくらいなら費用を払ってでもやってもらうほうがいいと考えること
 が多く、多くの場合、すんなりと払ってくれます。私の経験でも、初回
 は断られても、2度目には編集費を払うから仕上げまでやってくれとな
 ることがよくありました。経験してみると、意外に大変な作業であると
 わかるからでしょう。

 テクニカルライティング的な翻訳の場合は、通常単価よりも若干高めに
 してもらってもいいはずです。誰でもできる翻訳でもなければ、誰でも
 対応する翻訳でもないからです。希少価値があれば高くて当然です。

 コピーライティング的な翻訳は、前述のように別立ての一式価格が基本
 でしょう。値段に見合う結果さえきちんと出せば、10ワード程度の1文
 で万単位を請求してもリピートオーダーが来ます。

 ☆本編及びバックナンバーはこちら↓
 http://tran.blog.shinobi.jp/Category/16/

【著者プロフィール】
  井口 耕二(いのくち・こうじ)a.k.a. Buckeye
  技術・実務翻訳者、翻訳フォーラム共同主宰、社団法人日本翻訳連盟
  常務理事
  高品質・高価格をめざして翻訳の現場で日々努力するとともに、オン
  ライン・オフラインの各種記事、セミナーなどさまざまな場で翻訳者
  という立場からの提言や主張を行っている。
  著書に『実務翻訳を仕事にする』(宝島社新書)、訳書に『スティー
  ブジョブズ−偶像復活』(東洋経済新報社)、『ウィキノミクス−マ
  スコラボレーションによる開発・生産の世紀へ』(日経BP社)などが
  ある。
  ホームページURL: http://buckeye.way-nifty.com/translator/

 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ■「山本ゆうじの翻訳道具箱」(その57)       山本 ゆうじ

 うろ覚えの単語を確認する――barackとbarrackの違いは?

 たまにCDからパソコンに音楽を取り込むのですが、ソフトがインターネ
 ット上の曲名のデータベースを参照して自動的に曲名を取り込みます。
 そのときに腹が立つのは、曲名やアーティスト名の英数字が全角になっ
 ていることです。全角英数字というのは幅が広くて余分に字数を消費し、
 見た目が悪いばかりでなく、スペルチェッカーでチェックできないやっ
 かいものです。また全角の数字は数値データとして認識されないので、
 情報としての価値が下がります。電子文書やデータベースからは、全角
 英数字は追放したいものです。

 さて、英語ニュースのポッドキャストなどを聞いていて、初めて聞く言
 葉に出くわすことがあります。スペルが推測できることもありますが、
 いつも正確とは限りません。スペルがうろ覚えの単語を、パソコンの辞
 書で引くにはどうしたらいいでしょうか。いくつかのスペルを試して繰
 り返し検索するのもいいのですが、もっとすばやく調べる方法がありま
 す。

 第1の方法は、Wordでスペルチェックしてみることです。一般的な言葉
 ならこれで十分です。

 第2の方法として、とくに専門的な語は、うろ覚えのスペルのまま、
 Googleでとりあえず検索してみるのがいいでしょう。Googleには、一種
 のスペルチェック機能があります。以下の例でスペルのどこがおかしい
 かよく分からない方は、この文章をコピーしてWordなどに貼り付けてみ
 るとすぐに分かるはずです。

 たとえば"assosiates"というスペルで検索すると「もしかして: associates
 上位 2 件の検索結果」と表示されます。

 しかし、たとえばvocaburaly と検索してもvocaburaly という誤ったス
 ペルのままで結果が表示されます。vocaburaly の検索結果は約 1,800
 件ですが、これはほぼすべて間違いでしょう。もしかしたらvocaburaly
 という固有名詞のバンド名などが存在するのかもしれませんが……。と
 もあれ、この場合は"test"など、元の文脈に出てきた他の言葉をキーワ
 ードに含めて検索するとよいようです。vocaburaly test で検索すると
「もしかして: vocabulary test」と表示されます。

 翻訳でもビジネス文書でも、人名、企業名、地名などの固有名詞は、し
 っかり確認する必要があります。たとえば、オバマ大統領の姓の「バラ
 ク」のスペルを確認するためにbarrackという語で検索したとします。
 しかしbarrackという語自体は正しいスペルですから、「Barack Obama
 の誤りとしてのbarrack」は検索結果の上位には出てきません。しかし
 barrack obamaで検索すると「もしかして: barack obama」と表示され
 ます。

 ここでも注意が必要です。表示された結果をそのまま鵜呑みにしてはい
 けません。ここではあくまで正しいスペルの「候補」を調べただけです。
 実際にこのスペルで辞書を引いて、目的の語か確認してください。事実、
 検索結果には「Barrack Hussein-Obamaさん(Chicago, IL)はFacebookを
 利用しています。」とも出ています。スペルチェッカーを使わない方は
 多いようですが、このような詐欺に引っかからないように祈るばかりで
 す。

 また海外ドラマ『CSI:科学捜査班』を見ていて聞こえた、「ケタミン」
 という薬品の英語のスペルを確認したいとします。まず音から"ketamin"
 というスペルを推測します。Wordのスペルチェッカーで"ketamin"の修
 正候補として出てくるのはkeratin、detain、retain、certainなどで、
 このような薬品の名前までは出てきません。次の手段としてGoogleでひ
 とまず"ketamin"で検索すると、Wikipediaでketamineの項がありました。
 かなり充実した項ですので、一定の信頼性はありますが、念のためにパ
 ソコンの辞書でも確認したほうがいいでしょう。このようにGoogleの
 「もしかして」が出てこなくても、ひとまずネット検索することでスペ
 ルの候補が分かります。

 これはあくまで例ですので、「ケタミン」の場合はカタカナのまま辞書
 で調べても出てきます。ただ、実際にはそううまくいかないこともけっ
 こうあるものです。

 ご質問、ご感想、ご要望、ご意見などがありましたら、
 tran@nichigai.co.jpまでどうぞ!

《このコラムは、音声認識ソフトで入力し、音声読み上げにより校正しています》

【著者プロフィール】
   山本 ゆうじ(やまもと・ゆうじ)
   言語・翻訳コンサルタント。国際学校 UWC イギリス校で二年間学び、
  筑波大学を経て、シカゴ大学人文学修士号を取得。
  日英仏語で、美学・比較文学・芸術学・文章技法などを学ぶ。

  transPC  【実務翻訳】	  http://transpc.cosmoshouse.com/
  秋桜舎  【文芸談義/文芸翻訳】http://cosmoshouse.com/

 『世界に通じる学校――国際学校 UWC の異文化理解教育』発売中
  山本ゆうじ〔編著〕2004.4 アルク刊 A5/199p \2,310(税込)
  http://www.bookpark.ne.jp/cm/pudding.asp?content_id=ALCB0025
   ↑mixiやブログなどもありますので、よろしければこちらもどうぞ!

 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ■ 電子辞書SHOPからのお知らせ

 SHOPトップページの「お知らせ」に、「コウビルド英英辞典 再入荷」
 を掲載したのにちっとも注文がないなぁ‥ と思っていたら、なんと商
 品棚に入っていませんでした。削除したり復活させたりしていたので、
 不掲載のままになってしまっていたのでした。気をつけねば。

 ★「Oxford English Dictionary on CD-ROM」新版の情報
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「Oxford English Dictionary on CD-ROM Ver.3.1.1」が品切となりまし
 た。現在、Ver.4 を制作中なのだそうです。発売日は確定していません
 が、当初5月頃と言っていたのが6月頃になるのではないかということで
 す。
 オックスフォード日本法人からの情報として、「Ver.4」へのアップグ
 レードは「Ver.2.x」以降からとなり、「Ver1.x」のお客様には新規の
 製品を購入いただくことになるそうです。
 なお、「Ver.3.1.1」へのアップグレード版はまだ販売していますので、
 旧版をお持ちの方はご利用下さい。

 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ☆ TranRadar バックナンバーブログは↓こちら
   http://tran.blog.shinobi.jp/
 
  ※連載毎に読み返せるので新たな発見があります。
 ※コラムに対するご感想・ご意見お待ちしております。
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ■ 後 記

 粗忽者です。先日、姉の所に身を寄せている母に絵はがきを出しました。
 姉の住所を書き、義兄の名前を書き「様方」と書きました。そして母の
 名前を書こうと「青木」までいったところでつい勢いに乗り「竜馬(自
 分の名前)」と書いてしまいました。
 で、仕方がないので自分の名前の横に「の母 和子様」と書き投函。
「これが四十過ぎた大人のすることか・・・」。
 親孝行のつもりがかえって心配をかけてしまいました。 
 で、教訓。呑んで手紙を出すのはやめよう。
                              (青)
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 配信登録・停止の手続きは、下記↓のフォームからお願いします。
  http://www.nichigai.co.jp/translator/request_form2.html

 または tran@nichigai.co.jp 宛に「配信希望」「配信希望せず」と
 直接ご連絡いただいても手続きができます。

 ★友人・知人、親戚・縁者に配信希望の方がいらっしゃる場合、
  →http://www.nichigai.co.jp/translator/request_form2.html
 を教えてあげてください。

 なお、バックナンバーはこちらでご覧いただけます。
  →http://www.tranradar.net/mail_mag/index.html
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
 読んで得する翻訳情報マガジン トランレーダー・ドット・ネット
 No.189 に対するご意見ご要望はこちらまでお寄せください。
  tran@nichigai.co.jp ※ 提供 日外アソシエーツ株式会社
  http://www.nichigai.co.jp/
 ※ 発行人 森本浩介  ※ 編集スタッフ 青木竜馬/竹村雅彦
 【バックナンバー】
  http://www.tranradar.net/mail_mag/index.html
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「読んで得する翻訳情報マガジン」に記事として掲載されたサイトを
 利用になる上で発生したあらゆる損害に関して、編集発行人は一切の
 賠償責任を免れます。「読んで得する翻訳情報マガジン」に掲載された
 記事の転載については、発行人の方にご一報ください。
 許可の無い転載は禁止いたします。
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 Copyrights (c) 2009 Nichigai Associates. All Rights Reserved.


「読んで得する翻訳情報マガジン」案内へ戻る