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 ■ 仕事としての翻訳                  井口 耕二
 ■ 翻訳業界雑記 第40回 ユーザー参加型翻訳サービス  吉野 陽
 ■ 電子辞書SHOPからのお知らせ
 ■ トランネット便り 〜 Arcadia
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 ■ 仕事としての翻訳                  井口 耕二

 ●定訳、誤訳、意訳・直訳……

 翻訳の業界用語的な言葉に、定訳、誤訳、意訳・直訳などがあります。
 よく使われる言葉ですが、人によって意味するところが違っていたりし
 ます。そのために議論がかみ合わなかったり紛糾したり、あるいは、
 取引先との関係がこじれたりすることもあります。

 ◎定訳

「xxの定訳はyyである」などと使います。定義するなら「定まっている
 訳」でしょう。定訳がある単語については、自分で訳語を案出するので
 はなく、定訳といわれる訳語を探し出す必要があります。

 訳が定まっているのだから簡単かというと、必ずしもそうではありませ
 ん。翻訳者のコミュニティなどで文脈の説明もなしに「xxの定訳はなん
 でしょうか」という質問をみることがありますが、ほとんどの場合、な
 んとも答えようがありません。

 定訳に関する問題としては、まず第一に、ある分野で定訳があっても別
 の分野では定訳がないことが多い点があげられます。

 もう一つの問題は、分野によって異なる定訳があったりする点。私は会
 社員時代、石炭ボイラーにおける燃焼が専門のリサーチエンジニアをし
 ていました。ボイラー技術者は、石炭中に含まれる灰分のうち、燃焼後、
 煙突側に飛ばされるものを英語で"fly ash"、日本語では「フライアッ
 シュ」といいます。つまり、この二つは互いに「定訳」の関係にあるわ
 けです。ところが焼却炉関係では同じく煙突側に飛ばされる灰を英語で
 は同じく"fly ash"、日本語では「飛灰」といいます。また、燃焼後、
 炉底に残る"bottom ash"は、ボイラーではボトムアッシュ、焼却炉では
 焼却灰といいます。さらにややこしいことに最近の焼却炉は熱回収も行
 うものが多く、ボイラーの一種になっていたりします。分野や内容も加
 味して検討しないと、何が定訳であるのかを正しく判断することはでき
 ないのです。

 産業翻訳では、このほか、「ウチの会社ではこう言う」と会社単位の定
 訳が存在することも珍しくありません(「指定用語」などと呼びます)。
 その会社の文書であれば、業界で一般にどう言われていようが、その会
 社の定訳が優先です。でも業界全体をカバーしてさまざまな技術を比較
 しているようなケースでは、会社単位の定訳よりも業界の定訳を優先し
 たり、両者を併記したりする場合もあります。

 さらにまた、専門用語としての定訳が存在していても、対象読者が専門
 外の人なのであれば、その定訳をあえて使わず説明的に訳すほうがいい
 場合もあります。

 このように、定訳といっても訳が一つに定まっているわけではなく、翻
 訳対象文書の分野や執筆者、対象読者層によって変化したりするわけで
 す。

 結局、定訳といっても、「複数の語義・訳語から内容や読者に適したも
 のを選ぶ」必要があり、処理の仕方としては普通の言葉と同じになるこ
 とがわかります。

 ◎誤訳

 誤訳というのは「誤った訳」。意味するところは明らかなようでいて、
 実は、「定まっている訳」と同じくらいいろいろと問題を含む言葉です。

 大間違いという訳はたしかにあります。逆に、誰に見せても「正しい」
 と言われる訳もあるでしょう。問題は、大半の訳がその中間に来るとい
 う点。正しいか誤っているかというデジタル的なものではなく、正しい
 から誤っているまでゆるやかに変化するアナログ的なものとして考えな
 ければならないのです。

 それに加え、自分の訳文は甘く評価しがちという点も翻訳という仕事に
 おいては大きな問題になります。

 翻訳した本人は原文を読んでいるので、少しくらいおかしな訳文でも原
 文の意味に理解してしまいがちです。これに対して読者は訳文しか読み
 ません。訳文が不明確で誤読してしまえば、その読者にとってその訳文
 は誤訳ということになります。文章というものは、一般にさまざまな取
 り方ができるものです。Aという解釈が「正しい」なら、BやCと解釈
 した人にとってその訳文は「誤訳」です。

 誤訳関連で議論が紛糾したりもめたりするパターンで多いのは、一方は
 BやCと解釈できる点を問題にしているの対し、もう一方がAという解
 釈「も」できるから問題ないと反論するというものです。このようなケ
 ースでかみ合った議論とするためには、「BやCと解釈することはでき
 ない」あるいは「BやCと解釈できないように訳文を変更するとかえっ
 て問題が大きくなる」などの反論が必要になるはずです。そのような反
 論ができないときには、「読み方によっては誤訳となる」訳文で改良の
 余地があるはずです。

 このような考え方をしたほうが、翻訳者仲間との議論から多くのものを
 得ることができます。

 同じような話が取引先とのやりとりで生じることもあり、その場合は特
 に注意が必要です。取引先から「Bと解釈できるので誤訳」などの指摘
 を受け、上記のように「Aという解釈『も』できるから問題ない」と反
 論したらどう思われるでしょうか。おそらくは、自分の間違いを認めな
 い翻訳者、認められないから間違いをくり返す翻訳者という評価される
 ことになるでしょう。

 もちろん取引先の言うことは何でも受けいれろという話ではなく、まっ
 とうな反論があればすべきだと思いますし、そのような反論であれば反
 論することによって評価が高くなることも少なくないはずです。

(次回に続きます)

 ☆本編及びバックナンバーはこちら↓
 http://tran.blog.shinobi.jp/Category/16/

【著者プロフィール】
  井口 耕二(いのくち・こうじ)a.k.a. Buckeye
  技術・実務翻訳者、翻訳フォーラム共同主宰、社団法人日本翻訳連盟
  常務理事
  高品質・高価格をめざして翻訳の現場で日々努力するとともに、オン
  ライン・オフラインの各種記事、セミナーなどさまざまな場で翻訳者
  という立場からの提言や主張を行っている。
  著書に『実務翻訳を仕事にする』(宝島社新書)、訳書に『スティー
  ブジョブズ−偶像復活』(東洋経済新報社)、『ウィキノミクス−マ
  スコラボレーションによる開発・生産の世紀へ』(日経BP社)などが
  ある。
  ホームページURL: http://buckeye.way-nifty.com/translator/

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 ■ 翻訳業界雑記 第40回 ユーザー参加型翻訳サービス   吉野 陽

 先日「起業チャレンジ2009」の最終審査結果が発表されました。こちら
 は20代を対象にしたビジネスプランコンテストで最優秀賞には起業支援
 金が提供されるものです。

 なぜこのコンテストを取り上げたのかと申しますと、今回の最優秀賞に
 輝いたのは翻訳に関係するサービスだったためです。その名も「ソーシ
 ャル翻訳コニャック」というもの。
 その詳しいサービス内容はまだ公開されておりませんが、ユーザー参加
 型の他言語翻訳サービスということで、世界展開も視野に入れているそ
 うです。

 またこのコンテストの選考課程には、プレゼンはもちろんのこと、コン
 テスト主催企業による指導、ビジネスプランのブラッシュアップ期間も
 設けられているので、本格的なサービススタートに注目が集まります。

 また一方でユーザー参加型の翻訳サービスとしては、一足先に「FC2翻訳」
 という無料のサービスがスタートとなりました。

 こちらはユーザーが翻訳してほしいWebページを登録し、その言語が得
 意なユーザー、または得意ではなくても語学学習中や挑戦してみたいと
 いうユーザーが翻訳に参加し、完成させていくもの。翻訳が評価された
 後に閲覧が可能になるという仕組みで、外国語から日本語はもちろん、
 日本語から外国語にも対応しています。企業だけでなく、「自分のBlog
 を翻訳して世界に発信したい」なんていうニーズにも応えられそうです。

 これまではインターネット上の翻訳サービスといえば機械翻訳が主流で、
 意味の通った読みやすい文章に翻訳されることは稀でした。しかしユー
 ザー参加型の翻訳ならば、機械翻訳に比べて意味が通りやすい文章にな
 ることが期待できます。少なくとも単語レベルで置き換わった文章を読
 まされるということはなくなるでしょう。

 どちらのサービスもまだこれからというものですが、こういったサービ
 スが定着していけば、今までより翻訳を身近に感じられる機会が増える
 ように思います。これを機会に少しでも多くの方に翻訳に興味を持って
 いただけるとうれしく思います。

                    (アメリア事務局 吉野 陽)
                http://www.amelia.ne.jp/userTop.do
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 ■ 電子辞書SHOPからのお知らせ

  ★ 翻訳ソフトがリニューアル!
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    定価 ¥176,400 → 辞書SHOP特価 ¥132,300(税込)

  ★「世界大百科事典 第2版」入荷しました
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 品切になっていた「CD-ROM 世界大百科事典 第2版&百科事典マイペデ
 ィア」がちょっとだけリニューアルして入荷しました。平凡社の「世界
 大百科事典」部分は前版と変わりませんが、おまけの「百科事典マイペ
 ディア」が少し新しくなっています。

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  ★【恒例!冬のセール】やってます
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 ■ トランネット便り 〜 Arcadia

 JR市ヶ谷駅近くの私学会館の愛称は「アルカディア」だが、Arcadiaは、
 もともとはギリシャ、Peloponnesus半島の高原にある景勝地で、古来、
 牧歌的な田園地帯、Utopiaとされていた。しかし、呉 茂一さんの名著
『ギリシャ神話』(新潮社)によれば、実際には乱飲、人肉食の横行し
 た殺伐な地だったという。
 ともあれ、simplicity、innocence、contentmentを兼ね備えたregionの
 代名詞としてよく用いられるのはご承知のとおり。
 この地名の由来にも触れておこう。(これも前掲書による)
 ローマの詩人、Ovidius(英語ではOvid)の”Metamorphoses”によれば、
 狩と月の女神Artemisの従者であるnymph、Caristoは、Zeusに見初めら
 れて男の子を身籠ったので、嫉妬したHera(あるいはArtemis)に熊に
 変身させられてしまう。一方、Arkasと名づけられて一五歳に成長した
 息子は、投げ槍の名手となっていたが、ある日、森の中で母親である熊
 に遭遇、槍を投げつける。あわや、と言う瞬間、Zeusが二人を天上に連
 れ去り、星に変えた。これが大熊座と小熊座である。それを知ったHera
 は海神、Poseidonに頼みこみ、この二星座のみには、他の星座のように、
 一時、海中に没して休息することが許されないようにした……。
 しかし、実際には、Arkasは天を支える巨人、Atlasの姪、あるいは他の
 nymphを娶り、アルカディア(この名はArkasに負う。つまりArkasはこ
 の地のeponymous heroということになる)州の多くの王族、貴族の祖と
 なったそうである。

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  【英 語 版】http://www.trannet-japan.com/ep/tjc_top.asp
  【日本語版】https://www2.trannet.co.jp/jwh/jp/jtjc_top.asp

《Publishing House Japan》
   >>作家が出版で世界戦略を立てる、新たな時代の幕開け<<
  http://www.trannet.co.jp/pre_up/web_phj/phj_news.html

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 「トランネット便り」は本号をもって終了となります。長らくご愛読い
 ただきまして、誠に有り難うございました。
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  ※連載毎に読み返せるので新たな発見があります。
 ※コラムに対するご感想・ご意見お待ちしております。
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 ■ 後 記

 昨年の大晦日、突然思い立ちました。《風習》を大事にしよう、と。
 そこで駅ビル地下の食料品店街に赴き、ここ数年見送ってきた「年越し
 そば」を買いました。年賀状も「去年もらった人に」というさもしい考
 えを捨て出来るだけ多くの方に送りました。で、昨日は豆まきです。と
 うのたってきた中2の息子、小6の娘をつかまえ、最初のうちはバカら
 しく感じましたが、最後の方は結構喜々として豆をぶつけ合いました。
 ささやかなものですが節目毎に出費するのは中々気分の良いものであり
 ます。
 女性の皆様、そろそろバレンタインデーですね。《風習》は大事ですよ。

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