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 ■ Words in NICHIGAI's CDs and Books
 ■ 日英語の性質の違いが翻訳に及ぼす影響(その4)     小川 明
 ■ 電子辞書SHOPからのお知らせ
 ■ 翻訳業界雑記 第38回                 吉野 陽
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 ■ Words in NICHIGAI's CDs and Books  》》賃借対照表の用語から

 このコーナーでは、日外アソシエーツ発行のCD-ROM辞書や書籍から一部
 を抜粋してご紹介します。

 セイコー電子辞書の新製品に小社辞書『専門用語対訳集 ビジネス・法
 律16万語 英和・和英』が搭載されています。そこで、この辞書にどん
 な用語が収録されているかをちょっとだけご紹介します。賃借対照表の
 用語からピックアップしました。

 (1) black ink

 (2) debit

 (3) current liabilities

 日本語訳はメルマガの終わりでチェックしてくださいね。
                              (色)
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 ■ 日英語の性質の違いが翻訳に及ぼす影響(その4)
                             小川 明
 前回では、次のことを明らかにした。

 ◆日本語では、名詞に前から掛かる連体修飾要素は短く、名詞句は短く
   なる。

 [さっき境内を掃除にきた]〈おばさん〉(武田百合子『ことばの食卓』)

 ◆日本語では、一つの文は短くなる。長くするためには短い文を並列に
   繋げていく。

 点灯夫とは、夕暮れ時になると/ 街灯ひとつひとつに灯をともし、/ 空
 が明るくなると/ その灯を消していく、/ [あの仕事をする] 人のことだ。
                                     (西本郁子『時間意識の近代』)
 
 ◆この二つを守ると自然な日本語になることが多い。

 ただし長い連体修飾節がいつも不自然になるわけではない。短い文を並
 列に並べた場合は、不自然にならない。

 [群馬の山村に生まれ 、/東京で苦学して /電気専門学校を出、/戦争に
 行き、/肺結核の大手術を受け、 /ふるさとの生家の下の家に婿に入っ
 た]〈あなた〉は、電気技師として勤めていた鉱山が閉山になるとともに
 東京に行きましたね。       (南木佳士『天地有情』) 

 ◆どのような時に日本語が不自然に感じられるか。

 次の例では、(a)が安西による直訳で不自然に感じられる、(b)が安西に
 よる翻訳で自然な日本語になっている。なお[  ] により関係代名詞節
 ないしは連体修飾節、〈 〉によりそれが掛かる名詞を示す。

 There are 〈plenty of races〉 at the present day [who have〈fully
 developed languages〉[in which they can express 〈everything〉 
 [that is in their mind]]], but [who have no system of writing]].
 
 a.  現在、[[[ 心にある]すべての〈こと〉を表現できる十分に発達し
 た] 〈言語〉をもっているが、[書く]〈組織〉をもたない] 多くの〈種
 族〉がいる。
 
 b.  ある種の種族は、[ 十分に発達した ] 〈言語〉をもち、[考える] 
〈こと〉はすべて口頭では表現できるにもかかわらず、表記のシステム
 だけはもっていない。しかもこうした種族の数は、今日でもけっして少
 なくないのである。

 ◆なぜ不自然になるのか。

 直訳では短い文が並列に連結されていないで、[  ]で示されているよう
 に、入れ子になっている。〈種族〉に掛かる[心にある・・・書く組織
 をもたない]の長い連体修飾節の中は単に文が連結されているのでなく、
 その中に含まれる〈言語〉に連体修飾節 [心にある・・・十分に発達し
 た]がかかり,さらに、その中の〈こと〉に[心にある]が掛かっている。
 つまり三重に「埋め込み」(文の中に文を繰り入れること)がなされて
 いる。実はこれが直訳を不自然にする元凶なのである。

 それに対して安西の訳(b)をみるとそのような何重にも渡る埋め込みは
 ない。[十分に発達した]と[考える]という短い連体修飾節があるのみで
 ある。

 ◆日本語と英語の違い

 英語では、埋め込みを繰り返すことはまったく自然であり、これが文を
 長くする重要な手段になっている。
 
 John owned a cat [that killed a rat [that ate cheese [that was
 rotten ]]].

 その直訳がいかに不自然か見てみよう。
 
 ジョンは[[[腐った]チーズを食べた]ねずみを殺した]ねこを飼っていた。

 それに対して、日本語では基本的には、文を並列にならべることによっ
 て、文全体を長くしていく。これが二言語の間の大きな違いであり、埋
 め込みが何重もある文を直訳すると、ぎこちない日本語にならざるを得
 ないのである。不自然な翻訳を生み出す主な原因のひとつになる。これ
 は、究極的には日本語がSOV,英語がSVO言語、つまり動詞の位置の違いか
 ら出てくると思われる。

 ◆自然な日本語にするためには埋め込みを繰り返すことを避ける。最大
 2回である。

 念のため、もうひとつ例をあげよう。安西の例による。

 Let us not neglect [as we grow older] the pleasure of re-reading
 〈books〉[which we remember [we liked [when we were young]]], 
 but [which we have mostly forgotten] and [which we should like 
 to read again].

 a. 齢を取るにつれて、[[[[若かった]〈時〉に好きだったと] 覚えてい
 る,しかしほとんどは忘れており、そしてもう一度読んでみたい] 〈書
 物〉をもう一度読む]〈楽しみ〉を大切にしよう。
 
 b.  齢を取るにつれて、[昔読んだ本をもう一度読み返してみる]〈楽し
 み〉を大切にしたいものである。[ [若い頃に好きだった]〈こと〉だけ
 は] 覚えていても、内容はほとんど忘れてしまっていて、もう一度読ん
 でみたいと思っているような、そんな本を読み返すことにはまた格別の
 楽しみがあるものだ。

 直訳(a)には四重の埋め込みがあるが、翻訳(b)では二重である。ここで
 注目すべきは [若い頃に好きだった・・・もう一度読んでみたいと思っ
 ているような]〈本〉となるところを「そんな」を用いて、その埋め込み
 を避けていることである。これは埋め込みを避ける一つの効果的な手段
 であり、すでに挙げた「点灯夫・・・」の例文でも、そのために「あの」
 が使われている。

 ◆この観点から眺めると、福沢諭吉のアメリカ独立宣言の翻訳がいかに
 見事なものであるかわかる。直訳は柳父による。

 (29) [When in the course of human events it becomes necessary 
 [for one people to dissolve the political bands [which have 
 connected them with another], and  to assume among the powers 
 of the earth, the separate and equal station [to which the Laws 
 of Nature and of Nature’s God entitle them]]] , a decent respect 
 to the opinions of mankind requires [that they should declare 
 the causes [which impel them to the separation]].

 a. [人類の諸事件の経過において、[一国民が他の国に結びつけられて
 いた] 政治的な絆を解き放ち、[[自然法と自然の神の法がその国民に
 付与した分離した] 平等の地位を、地上の列強の間で占めること]がそ
 の国民にとって必要になる] 時、人類の世論にたいする当然の配慮は、
 [[彼らが分離せざるをえなかった] 理由を宣言すべきである] という
 ことを要求する。
 
 b. [ 人生巳むを得ざるの時運にて、一族の人民、他国の政治を離れ、
 / 物理天道の自然に従って/ 世界中の万国と同列し、/ 別に一国を建
 てる] の時に至ては、/ [其建国する] 所以の原因を述べ、/人心を察し
 て/ 之を布告せざるを得ず。

 短い文を並列につなぎ、埋め込みの繰り返しを避けている。原文及び
 その直訳ではある幾重もの埋め込みがなくなっている。まさに上で述
 べたことが、直観によって実践されているのである。

 ◆以上4回にわたり、日英語の構造上の差から出てくる翻訳上の問題に
 ついて説明を試みた。まだまだたくさんあると思うが、これからも言語
 を研究している者の立場から調べてみたい。

  【著者略歴】
   小川 明(おがわ・あきら)
   東京家政大学文学部教授
   1942年生まれ。東京教育大学大学院文学研究科修士課程修了。山口
   大学、名古屋工業大学を経て、現職。英語学を専門とする。
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 ■ 翻訳業界雑記 第38回 翻訳支援ツール「MemoQ」    吉野 陽

 今回はこの連載でも何度か取り上げている翻訳支援ツール、中でも翻訳
 メモリに関する話題です。

 先日ひょんなことがきっかけで、新しい翻訳支援ツールのデモをしてい
 ただく機会に恵まれました。その製品名は「MemoQ」というものです。

 新しいとは言うものの、2006年にはバージョン1.1がリリースされている
 ようなので既にご存知の方もいらっしゃるかもしれません。

 まずデモを拝見した率直な感想ですが、「使いやすそう!」というのが
 第一印象でした。ファイル・フォルダの管理機能が簡素化され、インタ
 ーフェイスも洗練されているのでとてもとっつきやすい印象でした。

 いままでも何度か他の翻訳支援ツールを触る機会がありました。ただ一
 度説明を聞いても自分で操作するには再度マニュアルを読み直したりす
 ることが多かったのですが、そんな私でも「memoQ」ではすんなりと操作
 の流れを理解することができました。多少パソコンの操作に慣れている
 方であれば、一度説明を聞くかマニュアルを読めば大抵の操作ができる
 のではないかと思います。もちろんTMXやTTXにも対応しています。

 MemoQはハンガリーのKilgray社が開発したソフトで、日本向けのローカ
 ライズはやなさ株式会社が行い、販売している製品です。体験版も
 Kilgray社のウェブサイトから配布されているようです。

 MemoQ製品ページ
 http://en.kilgray.com/?q=node/products/memoq/basics

 ダウンロードページ
 http://en.kilgray.com/?q=node/download

 さてこのMemoQ。なんと10月22日に開催される翻訳祭の翻訳プラザでデ
 モ出展することが決まったそうです。少しでも興味がおありの方は、翻
 訳祭に足を運ばれてみてはいかがでしょうか。第18回翻訳祭の詳細は下
 記JTFのサイトからご覧いただけます。

 http://www.jtf.jp/jp/festival/festival_top.html

                  (アメリア事務局 吉野 陽)
              http://www.amelia.ne.jp/userTop.do
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 ■ Words in NICHIGAI's CDs and Books <日本語訳>

 (1) black ink
     貸方 [95IP・ビジネス]

 (2) debit
     借方 [金融][ビジネス][法律]

 (3) current liabilities
     流動負債 [95IP・ビジネス][法律]

 ※[ ]内は、典拠と分野名

 ※CD-ROMで複合語を検索するときは、「複合検索」画面を開き、単語を
 1つずつ入れて検索してください。「前方一致」欄での複合語検索はで
 きません。

 貸方、借方、流動負債に相当する英語表現は複数あります。例えば、貸
 方は:credit (Cr), creditor, etc. 借方:debit side, Dr (debtor), 
 etc. 流動負債:floating debt, floating liability, etc. CD-ROM辞
 書もIC電子辞書も訳語探しのお手伝いをいたします。

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   http://www.tranradar.net/cd-bzlaw16_2.html
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 ■ 後 記

 光文社古典新訳文庫の亀山郁夫訳『カラマーゾフの兄弟』(2006.9〜刊)
 が累計100万部(全5巻)を突破したそうです。文学書としてはきわめて
 異例のこと。いわゆる、古典新訳ブームの先駆けでしょうか。古くは、
 米川正夫訳、江川卓訳、原卓也訳などが有名ですが、新訳は、軽快で読
 みやすく、理解しやすいとのこと。家族の愛憎、幼児虐待、親殺しなど
 のテーマが殺伐・混沌とした現代の世相に通じるのかも。編集長による
 と「大方の予想では、主な読者層を団塊世代の男性と見ていたが、昨秋
 頃から20〜30代の女性層が増えた」そうです。

 一方、ネットをみると、ドストエフスキーの愛好家たちの間では「亀山
 訳は誤訳が多い」と非難する声もあり、賛否両論ですね。自分自身は、
 原卓也訳で読みました。大学1年の夏、英語の先生に「自由になる時間
 の多い在学中に絶対に読んでおいた方がいい」と奨められたのが、『罪
 と罰』『白痴』『悪霊』そして、この『カラマーゾフの兄弟』でした。
 個人的には『悪霊』が“映画”的で、お奨めです。

 ところで、ネットでは『カラマーゾフの兄弟』を略して『カラ兄』と書
 いてありました。ピ○カラ兄弟のことじゃないんですね。
                              (竹)
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