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 ■ 仕事としての翻訳〈専門分野〉            井口 耕二
 ■ 電子辞書SHOPからのお知らせ
 ■ トランネット便り
    〜 た、た、た、た、たいへんだぁ ― 文末処理という難題 ―
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 ■ 仕事としての翻訳                        井口 耕二

 ●専門分野(続き)

 ◎「実務者としての専門」と「翻訳者としての専門」の違い

 ウェブ上にある翻訳者のコミュニティやブログなどを読んでいると、
「翻訳者が専門家と同じレベルの知識と理解力を持つことは不可能。だ
 から、翻訳者に『専門』など不要。案件ごとに、書かれている内容が分
 かる程度まで調べられればそれでいい」といった意見を目にすることが
 あります。これを読んで、「ああそうか、専門知識なんかいらないのか」
 と思うのは早計です。

 ここで注意したいのは「専門とは何か」です。「専門家」と言われる人
 たちは、各分野の実務者・研究者といった意味合いでその分野を専門と
 する人です。そのような専門家と同等の知識と理解力を翻訳者が身につ
 けるのは、たしかにまず無理だと言えるでしょう。でも、その分野につ
 いてある程度以上の知識と理解力があれば、原稿に書いてあることのか
 なりの部分は理解できるはずですし、理解できないことも調べればなん
 とかなる(何をどう調べればいいのか見当がつく、調べた内容が理解で
 きる)はずです。逆に、その程度の知識と理解力がなければ調べても原
 稿に書かれていることが理解できなくなります。翻訳者としての「専門」
 とはこのレベルの知識と理解力を持つ分野なのです。

 たとえば私は、会社員時代、石炭利用技術の研究者として流動層燃焼に
 携わっていました。この分野であれば論文も何本か書きましたし、学会
 の重鎮といわれる先生方に顔と名前を覚えてもらうくらいにはなってい
 ました。小さなものですが、国際学会で議長役を務めたこともあります。
 つまり少なくとも一時期、これは私の「実務者としての専門」だったわ
 けです。これに対し、今、「翻訳者としての専門」として掲げているの
 は、昔の「実務者としての専門」の周辺であるエネルギーと環境、プラ
 ントのほか、趣味としてきた電気・電子、コンピューター(ハードウェ
 ア・ソフトウェア)、自動車など、かなり幅広くなっています。もちろ
 ん、今となっては石炭利用技術も私の知識や経験は古くなっており、実
 務者としての専門とは言えないレベルに落ちているはずです。まして、
 その他の分野については、知識も理解力もそれぞれの分野の専門家には
 遠く及ばないはずです。でも、翻訳者の中では比較的よく知っているほ
 うのはずですし、必要に応じて調べ物をすれば原稿が理解できる程度に
 は知識も理解力もあると思うから、「翻訳者としての専門」として掲げ
 ているわけです。

 このように「翻訳者としての専門」は「実務者としての専門」より低い
 レベルでもなんとかなります。専門家と同等の知識や理解力を身につけ
 なくてもなんとかなるわけです。しかし、調べれば分かる程度の知識と
 理解力は必要。そして、そのレベルの知識と理解力を身につけるために
 は、かなりの勉強が必要なのです。

 ◎専門分野の作り方

「ある分野が専門である」と言えるかどうかは、その分野のかなり先端
 の内容まで理解できるだけの知識と理解力を備えているかどうかで決ま
 ります。そして、ある分野の専門書を100冊も読みこなせば、翻訳者と
 して「これは私の専門です」と胸を張って言えるだけの知識と理解力が
 身につくはずです。私のように、もともと専門分野を持っていた人間の
 場合でも、その専門分野をものにした経緯は、専門書100冊読みこなし
 と大差ありません。結局、どれだけの情報をインプットし、身につけた
 かで専門分野のあるなしが決まるわけです。

 私の知り合いには、実際に「専門書100冊を英語と日本語で読み込む」
 ことで専門分野を作った人がいます。大学は英文科だったはずで、いわ
 ゆる言語系から翻訳者になった人です。翻訳者への転身を考えたとき、
 「自分は昔から日経新聞を読むのが好きだった」と思い当たり、金融・
 証券にねらいを定めて勉強を始めたそうです。

 そこまで準備しないといけないのかと思う人もいるでしょう。ここまで
 できればベストですが、そういう方向性で努力すればここまででなくて
 もそれなりにはなることが多いだろうとも思います。

 いずれにせよ、漫然とではなく、方向を定めて真剣に勉強すべきである
 ことはたしかです。また勉強は、翻訳者として順調に歩き始めたら終わ
 りではなく、翻訳の仕事をしている間、ずっと続けなければならないも
 のです。だから、単価が高いとか仕事が豊富にあるということより、自
 分が興味を持てるかどうかを第一義に分野を選ぶ必要があるわけです。


【著者プロフィール】
  井口 耕二(いのくち・こうじ)a.k.a. Buckeye
  技術・実務翻訳者、翻訳フォーラム共同主宰、社団法人日本翻訳連盟
  常務理事
  高品質・高価格をめざして翻訳の現場で日々努力するとともに、オン
  ライン・オフラインの各種記事、セミナーなどさまざまな場で翻訳者
  という立場からの提言や主張を行っている。
  著書に『実務翻訳を仕事にする』(宝島社新書)、訳書に『スティー
  ブジョブズ−偶像復活』(東洋経済新報社)、『ウィキノミクス−マ
  スコラボレーションによる開発・生産の世紀へ』(日経BP社)などが
  ある。
  ホームページURL:http://buckeye.way-nifty.com/translator/
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 ■ 電子辞書SHOPからのお知らせ

 ★8月中の営業について
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 8月中も当電子辞書SHOPは通常通りの営業です(土日祝日がお休み)。
 ただし、スタッフが交代で休みをとりますので、タイミングによっては
 お返事が遅くなる場合もございます。また、仕入れ先が夏休みの場合も
 ありますので、商品によってはすぐにお取り寄せができないものもござ
 います。あらかじめご了承ください。

 ★「外国地名よみかた辞典」をお店に並べました
   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 しばらく前から紹介している日外アソシエーツの新刊「外国地名よみか
 た辞典」、できあがりました。辞書SHOPの書籍コーナーに置きましたの
 で、ご利用ください!
  → https://www.tranradar.net/cgi-bin/tran2.cgi?BOOK=BOOK

 「外国地名よみかた辞典」
   A5・950頁 定価12,600円(税込)
   外国地名の原綴りからカタカナ表記を、カタカナ表記から原綴り
   を確認するためのハンドブック。世界の国名・都市名・河川名・
   山岳名などの地名 約44,000件を調べることができる。
   ※メルマがNo.166・170の“Words in NICHIGAI's CDs and Books”
    で内容の一部を紹介しています!
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 ■ トランネット便り 
         〜 た、た、た、た、たいへんだぁ ― 文末処理という難題 ―

 たまに韓国語の語りを聞くと、「…スムニダ、…アレダ、…コレダ」と
 いう語尾が何度もくり返されて耳障りに思うことが多い。おそらく、日
 本語の語りを耳にする外国人も「…なのです、…と思います。」あるい
 は「…でした。…ました。」と同じような語尾のくり返しにうんざりす
 るのではなかろうか。
 これは書き言葉でも同様で、小社の翻訳講座でもしばしば文末の90%が
「…た。」で終る訳文にお目にかかって、またか、と思うことがある。
 阿川佐和子さんもお若いころ(失礼!)、父君の弘之氏に「下手な機関
 銃打ちじゃあるまいし『…た。…た。…た。…た。』はよせ!」と叱ら
 れたそうだ。
 ことほど左様に日本語の文末処理は難しい。これはご存知のように、日
 本語文末のほとんどが外国語とは違って用言(とりわけ動詞、助動詞)
 で締め括られるからである。お互い、それを肝に銘じて、文末が単調に
 ならないように気をつけたいものですね。
 この点、いつも舌を捲くのは作家・丸谷才一さんの名人芸。とくに随筆
 がお見事だが、手っ取り早くは毎日新聞日曜朝刊の書評欄がある。一度、
 ご覧下さい。

 なお、念のため、前回所載英文原文の誤りを記しておきます。
 当該文章では、ごたごたしている割に構文は簡単でSVC。Sがsurrender
 とhumiliationの2語から成っているので、Vはwereであるべきなのに
 wasとなっている点が誤り。

《JAPANESE WRITERS' HOUSE》
   >>海外出版を実現するための著作権プロモーション<<
  【英 語 版】http://www.trannet-japan.com/ep/tjc_top.asp
  【日本語版】https://www2.trannet.co.jp/jwh/jp/jtjc_top.asp

《Publishing House Japan》
   >>作家が出版で世界戦略を立てる、新たな時代の幕開け<<
  http://www.trannet.co.jp/pre_up/web_phj/phj_news.html
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 ■ 後 記

 最近ラグビー界では盛んにELVなる略語が飛び交っています。先だって
 もラグビー協会から「ELVについてのIRB通達に関して」なんていう手紙
 が、我が少年ラグビー団にも送られてきました。
 世の中には自分たちの狭い世界だけで分かる用語を使って悦に入ってい
 る人たちがいます。「ELV」だの「IRB」だのという略語をもっともらし
 く使うラグビー界の人たちはその典型ではないでしょうか。
 人は言葉によって動きます。しっくりこない言葉を協会の偉い人に振り
 かざされても・・・。ついて行く下々は大変です。
 
 《おまけ》
 ELV(Experimental Law Variations):試験的実施ルール
 IRB(International Rugby Board):国際ラグビー評議会
                             (青)
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