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 ■ 翻訳業界雑記 第36回                 吉野 陽
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 ■ 日英語の性質の違いが翻訳に及ぼす影響(その2)     小川 明
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          「CD-専門用語対訳集 ビジネス・法律16万語」編

 このコーナーでは、日外アソシエーツ発行のCD-ROM辞書や書籍から用例
 や用語を抜粋してご紹介します。

 2008年5月28日から6月1日まで「アフリカン・フェア2008」(JETRO主催)
 がパシフィコ横浜で開催されていました。アフリカ大陸より40カ国の参
 加があり、各ブースは展示即売、商談で大賑わいでした。そこで、今回
 は「貿易」に関する用語をピックアップしました。

 (1) multilateral trade talks

 (2) manipulation of the market

 (3) 貿易相手国

 日本語訳・英訳はメルマガの終わりでチェックしてくださいね。

                             (一色)
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 ■ 翻訳業界雑記 第36回 チャレンジしてみよう!     吉野 陽

 随分昔のことになりますが、私自身が中高生だった頃、翻訳といえば映
 画の字幕が浮かぶぐらいで、翻訳を身近に感じる機会も皆無に等しく、
 しかも受験英語の延長ぐらいの認識でしたので、翻訳の楽しさや奥深さ
 を知ることもありませんでした。私自身のアンテナの張り方が弱かった
 のかもしれませんが、周りの同級生も翻訳に関心を寄せる人は少なかっ
 たように思います。

 こんな昔話をしたのも、先日デイリー・ヨミウリが主催する中高生向け
 の翻訳コンテスト「トランスレーション・チャレンジ」の記事を目にし
 たからです。実際の記事は以下になります。

 http://info.yomiuri.co.jp/event/content/daily1.pdf

 私が中高生だった頃にもこんな素晴らしい催しがあれば、もっと世界が
 広がっていたに違いないと思いつつ目を通してみると、課題取り組み時
 の注意点がいくつか上げられていました。どれも実際の翻訳の仕事でも
 いえることばかり。中でも興味深かったアドバイスが書かれていました
 ので以下に抜粋してご紹介します。

「日本語に対応する英語を和英辞典で調べ、機械的に並べても、必ずし
 も正しい英文になるとは限りません。1つの英単語には複数の意味があ
 り、同義語も少なくありません。正解は1つではなく、様々な英訳が可
 能です。どの単語を、どういう文脈で使うのが英文として優れているか
 を、念頭に置きながら取り組むことが大切です。辞書には大抵、目的の
 単語を使った例文が載っていますので、参考にするといいでしょう」

 受験英語に慣れ親しんでしまっていますと、どうしても辞書の訳語をそ
 のままに機械的に並べがちです。しかしこれでは翻訳としては不十分。
 伝えたいことを正しく伝える“生きた”訳文が求められます。そしてこ
 の“生きた”訳文を紡ぎ出す過程にこそ翻訳の奥深さや楽しさが潜んで
 います。

 残念ながら今回の応募は締め切りになっていますが、他にも中高生向け
 に毎年開催されている「第五回洋楽翻訳選手権」の開催概要がそろそろ
 発表になるようです。こちらは洋楽の歌詞を翻訳するというもので、昨
 年はVAN HALENの「Jump」などが課題曲となりました。英語が苦手な人
 も得意な人も、受験勉強の合間にチャレンジしてみてはいかがでしょう
 か。きっと普段の学習では知ることのない、新たな発見があると思いま
 す。
                  (アメリア事務局 吉野 陽)
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 ■ 日英語の性質の違いが翻訳に及ぼす影響(その2)
                             小川 明

 ◆やや不自然になる日本語

 前回では、長い関係代名詞節を直訳するとやや不自然な日本語になるこ
 とを述べた。もっと長い例をあげよう(安西徹雄『英文翻訳術』(ちく
 ま学芸文庫)からの例である)。に長い関係代名詞節が掛かって
 いる。

 Let us not neglect as we grow older the pleasure of re-reading
  [which we remember we liked when we were young, but which
 we have mostly forgotten and which we should like to read again].

 直訳すると、いわゆる翻訳調の訳になる。

 [若い頃に好きだったことだけは覚えているが、内容はほとんど忘れて
 しまっていて、もう一度読んでみたいと思っているような]<本>

 このことについて、安西は、英語は名詞を中心として文章を構成し、日
 本語は動詞を中心にして文章を構成するから、「ただ名詞の前に長い修
 飾句としてくっつけただけでは、日本語の骨組みに過重な負担をかけて
 しまう。」と言う。ここではもっと言語に密着して考えてみよう。

 ◆修飾句が長いと読みづらくなる日本語

 なぜ長くなると、すっと読めなくなるのだろうか。その解答を探る出発
 点として、長さの視点から、翻訳ではない日本語の連体修飾節の実例を
 眺めてみよう。実はそんなに長くならないのである。

 a. ある精神病院へ曲がる<横町>(芥川龍之介『歯車』)
 b. さっき境内を掃除にきた<おばさん>(武田百合子『ことばの食卓』)
 c. 書斎で頭をかかえ込み、もだえつつことばを紡ぎだす<哲学者>
                  (鷲田清一『「聴く」ことの力』)
 d. わたしがこれまで見たうちでもっとも心動かされた<住宅>
                  (加藤典洋『語りの背景』)

 次はやや長く感じられる例である。
 
 a. 柳宗悦以後の民芸問題をテーマに鳥取県の民芸運動について調べる
   学生の<卒業論文>(加藤典洋『語りの背景』)
 b. 阪神・淡路大震災のあと、近くの小学校の体育館へかなり長く焚き
   出しに通っていたひとりの<女性>
                (『鷲田清一「「聴く」ことの力」』)

 それと対照的にとても長い例をあげてみよう。次は大江健三郎の『壊れ
 ものとしての人間』の一節である。[ ]の長い部分が<有機体>に掛か
 っている。平子義雄『翻訳の原理』(大修館)にある引用を使用させて
 いただいた。

 しかしかれはついに、[谷間の道の白い土埃りにまみれた車座の中心で
 語る幼いかれ自身が、昂揚しながらも深い不安にしばしば見まわれつつ、
 実感しないではいられなかったところの、かれ自身をその微細なひとつ
 の細胞とする、歴史の遠い暗闇に巨大な根をはった、あの]<有機体>
 の実在を再び感じとることはないだろう。

 文学的視点は抜きにすると、とても読みづらい。普通はこのように長く
 はならない。

 ◆前置修飾しかできない日本語。後置修飾も可能な英語

 なぜ長くなると日本語では、読みにくくなるのだろうか。その答を探る
 ための出発点として英語を観察してみよう。日本語では名詞を修飾する
 要素は常に前に生じる。ところが英語では、名詞を修飾する要素は前か
 らも後からも掛ける事ができるのである。
 まず前の部分から見てみよう。冠詞・数詞・形容詞など限られた要素が
 生じ、かつ短いことに注目。((12)(13)の例は、Collins Cobuild
 English GrammarとLongman Grammar of Spoken and Written Englishに
 よる。)

 a. a fairly common 
 b. the most dangerous 
 c. three beautiful young 

 それに対して後は様々な要素が生じ、長くなることができる。もちろん
 関係代名詞節は後である。

 a.  capable of clearing rubble off the main roads
 b.  required to support a huge and growing population
 c. the three  lying on the table
 d.  of wrapping paper with bits of sticky tape still
   adhering to them
 e. the first  to be elected to the council
 f. the  where my grandmother had lived

 いかに長くなることができるか、次を見てみよう。の後に
 ある要素は最終的には、にすべて掛かっていくのである。

 This is  sowing the corn, that kept the cock, that
 crowed in the morn, that waked the priest all shaven and shorn,
 that married the man all tattered and torn, that kissed the 
 maiden all forlorn, that milked the cow with the crumpled horn,
 that tossed the dog, that worried the cat, that killed the rat,
 that ate the malt, that lay in the house that Jack built.

 このことから推理すると、どちらの言語においても前置修飾は短くなる
 傾向がある。そして前置修飾しかできない日本語では名詞に対する修飾
 は短くならざるをえない。ところが英語では後置修飾(その中に関係代
 名詞節が入る)が可能なので、相当長い修飾要素を名詞につけることが
 できる。ここでジレンマが生じる。英語の長い後置修飾要素をそのまま
 日本語に移すと、短くなる傾向を持つ前置修飾しかない日本語では耐え
 切れないのである。

 実は、名詞を修飾するのは節だけではなくさまざまな要素があるが、そ
 れらも同じように関与する。次の例では、その要素を取って短くした方
 がすっと読める。例文(1a)は安西、例文(2a)は池上嘉彦『「する」と
「なる」 の言語学』の一部分を利用させていただいた。(1)(2)の(b)(c)
 は、ここでそれに手を加えたものである。

 例文(1)
 a. この問題について出版されている少数の本当によい<本>
 b. この問題について出版されている少数の<本>
 c. この問題について出版されている<本>

 例文(2)
 a. 手に入る食物と言えば野菜ばかりのため、蛋白質不足で苦しんでい
    るアジアの何千万人の<人たち>
 b. 手に入る食物と言えば野菜ばかりのため、蛋白質不足で苦しんでい
    るアジアの<人たち>
 c. 手に入る食物と言えば野菜ばかりのため、蛋白質不足で苦しんでい
    る<人たち>

 次回では、さらにその先に行ってみたい。なぜ日本語と英語のどちらの
 言語でも共通に前置修飾が短くなり、英語では後置修飾が相当長くなる
 ことが可能であるか、その理由を言語処理の観点から考えてみたい。
 
 【著者略歴】
  小川 明(おがわ・あきら)
  東京家政大学文学部教授
  1942年生まれ。東京教育大学大学院文学研究科修士課程修了。山口
  大学、名古屋工業大学を経て、現職。英語学を専門とする。
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 ■ 〜Nichigai Introduction Party〜 <日本語訳・英訳> 

 (1) multilateral trade talks
    多角的貿易交渉 [95IP・ビジネス]

 (2) manipulation of the market
    価格操作 [法律]

 (3) 貿易相手国
    client state / trade partner[95IP・ビジネス]
    trading partner [95IP・ビジネス][法律]

 当翻訳メルマガNo.158の「翻訳読書ノート38」で北田先生が紹介された
『チョコレートの真実』(キャロル・オフ著 北村陽子訳 英治出版 2007)
 を読んでいます。そこには、カカオ豆に対する欧米の価格操作がアフリ
 カの生産者を追い込んでいる様子も描かれています。

 アフリカン・フェア2008では、ガーナのブースでシアバターで作られた
 ハンドクリームを、コンゴのブースで天然石のネックレスを買いました。
 ここには第三者による価格操作がないことを信じたいです。

 ※[ ]内は、典拠と分野名。
  xxIP:典拠。インタープレスが発行していた月刊誌「工業英語」の編
     集部が雑誌製作と並行して収集していた用語を中心としたもの。

 ◇「CD-専門用語対訳集 ビジネス・法律16万語」の詳細はこちら。
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 ■ 後 記

 前回の東女の入試問題の続きです。次の英文を訳しなさいというもの。
「私は自分の会社が楽しい...」という訳ではないそうです。

 I enjoy my own company, and feel quite happy about going to the
 cinema or the theatre alone.

 後半の文は明解です。「(私は)一人で映画館や劇場に行くことに幸せ
 を感じる」という意味。問題は前半部分。company=「仲間」と訳して
 しまうとよくわからなくなってしまいます。「交際」という訳語を当て
 ても、今ひとつピンと来ませんよね。

 OED Ver.3.1.1 によると company の語源は companion と同根で「com- 
 together + pan-is- bread」というラテン語から来ているそうです。
 つまり、「パンを一緒に食べる」→「一緒にいる」というニュアンス
 です。

 そこで、やや強引に逐語訳すれば、company=「同伴」となり、「私は
 私自身の同伴を楽しむ」→「私は一人でいるのが楽しい」という訳に辿
 り着きます。これが正解。たとえば、I enjoy your company. は「私は
 あなたといて楽しい」という意味です。

 因みに『CD-NEW斎藤和英大辞典』を company で英和検索してみると、
 ちゃんと見出し項目が立ってました。さすがは、斎藤秀三郎先生!
 熟語扱いですね。

 どっきょ〔独居〕〈名〉Solitude; one's own company:(=する) 
 to live by oneself; to keep to oneself
 ◆我れは独居を愛す I love solitude―I love my own company―
 I like to keep to myself.

 ところで、大学の「コンパ」も company から来ているそうで...。

                             (竹)
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 ※ 発行人 森本浩介  ※ 編集スタッフ 青木竜馬/竹村雅彦
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