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 2007年初配信です。
 本年もどうぞ宜しくお願いいたします。
 今号では日頃のご愛顧に感謝しスタッフが「翻訳」をテーマに何事かを
 語ります。
 さて、「読んで得する」となりますでしょうか。
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 ■ 翻訳―新たな概念の紹介者

 一人の「翻訳者」を紹介いたします。
 それは内村祐之という人物です。野球に関する本を読んでいて偶然知り
 得た人物です。

 内村は精神科医です。双生児の研究や精神鑑定書の名著と呼ばれる「日
 本の精神鑑定」(みすず書房)を監修するなどの業績を残しています。
 世界大百科事典によると、それまで「精神病学」と言われていた用語に
「精神医学」という訳語をあてたのは内村だといいます。これは「精神
 分裂病など狭義の精神病を対象とした医学」が、「人格障害や神経症な
 どの軽い異常状態をも扱う医学」へ変化をとげた象徴的な出来事なのだ
 そうです。

 一方で、旧制一高、東大時代には左腕の快速球投手として内村は鳴らし
 ました。その野球に関しても彼は画期的な功績を残しています。それは
 川上巨人に多大な影響を与え、日本の野球を変えたといわれる「ドジャ
 ーズの戦法」(アル・カンパニス著、昭和32年、ベースボールマガジ
 ン社)の翻訳です。この本と出会い、川上哲治は〈チームプレー〉とい
 うそれまでの日本球界にはなかった概念を知り、それをジャイアンツに
 植え付けました。そしてついには西鉄稲尾に代表される大エースの獅子
 奮迅の働きと4番打者の強打に頼った野球を終焉させたのです。
 これは推測でしかないのですが、「ドジャーズの戦法」はベースボール
 マガジン社が内村に翻訳を依頼したものではなく、翻訳出版自体、内村
 が持ちかけたのではなかったでしょうか。
 
 内村は精神科医として、野球人として、〈『翻訳』を通した新たな概念
 の紹介者〉でした。
                              (青)
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 ■時代とともに変わる翻訳タイトル

 昔、編集部にいたことがあります。入社したての頃、先輩たちの編集作
 業をいろいろ手伝っていました。その時、大きい図書館に行って文学全
 集の目次を写し、本文とあっているか確認してくる、という地味〜な作
 業がありました。そのあとには、調査したデータを全部リスト化し、あ
 れこれ並べ直してはいろいろチェックする、という、さらに地味な作業
 がありました。そうして出来上がったのが「世界文学全集綜覧シリーズ」
 です。この時携わったのは大正15年から刊行の始まった『世界文豪代表
 作全集』から昭和59年頃までに刊行されたいろいろな世界文学全集の総
 索引作りで、この時おびただしい数の作家名・作品名・翻訳者名を目に
 することになりました。

 この仕事をしていて、文学には興味のない私が面白いと思ったのは、タ
 イトルの付け方や固有名詞の表記の仕方です。たとえば、「シャーロッ
 ク・ホームズ」シリーズの中の“Red-Headed League”、今ではたいて
 いの翻訳本に「赤毛組合」というタイトルで載っていますが、
  昭和3年刊 改造社『世界大衆文学全集』(延原謙訳):赤髪聯盟
  昭和36年刊 河出書房新社『世界文学全集』(阿部知二訳):赤髪連盟
  昭和39年刊 東都書房『世界推理小説大系』(宇野利泰訳): 〃
  昭和34年刊 平凡社『世界名作全集』(鈴木幸夫訳):赤毛連盟
  昭和36年刊 中央公論社『世界推理名作全集』(田中西二郎訳):赤毛組合
 となっていて、訳語や表記の変遷がみられます。「シャーロック・ホー
 ムズ」も昭和3年の本では「シヤアロツク・ホウムズ」と書かれていて、
 時代を感じます。

 今では「赤毛」という言葉は別に珍しくありませんが(「赤毛のアン」
 のおかげ?)、きっと初めて翻訳した人は「赤毛」という言葉を思いつ
 かなかったんだろうなぁ、日本人の「黒髪」を「黒毛」とは言わないし
 ‥ などといろいろ想像します。

 近頃は、翻訳書や外国映画のタイトルに原題をカタカナ表記にしただけ、
 というものが増えています。もちろん、訳者やそれを読んだり観たりす
 る現代日本人の感性が変わってきているからなのでしょうが、なんだか
 違和感を感じるのは私だけでしょうか?
                              (み)
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 ■ 翻訳−ときにはお茶を飲んでブレイクしましょ

 お正月休みも終わり、皆様、仕事に勉強に精を出されていることと思い
 ます。軌道に乗って、事が順調に進むと、今年1年頑張れそうな気がし
 ます。
 でも、365日の間には、たまには足踏みしてしまうこともあるのではな
 いでしょうか。そんなとき、他の方々のお仕事ぶりを見聞きすると、次
 のステップへのヒントを得られることもあります。そこで、ヒントの詰
 まったサイトや書籍を下記にご紹介します。お茶を飲みながら、ちょっ
 と読んでみませんか。

 ◇出版翻訳データベース
 http://www.trs-data.com/

 手作り感のある出版翻訳者向けサイトです。
「インタビューコーナー」では、ベストセラー本の裏話をうかがい知る
 こともできます。

 ◇通訳翻訳WEB
 http://www.tsuhon.jp/

 イカロス出版「通訳翻訳ジャーナル」のWebsiteです。
「翻訳者リレーエッセイ」の「千里の道も一歩から」では、翻訳者にな
 られた皆さんの涙ぐましい努力に敬服し、「通訳メモランダム」では、
 現場の緊迫感に身の引き締まる思いがします。

 ◇英語トランス
 http://www.eigotrans.com/

 これから翻訳を始める人向けのサイトですが、「今週のつぶやき」では、
 翻訳通訳に関する最新情報がさりげなく紹介されています。毎週月曜日
 に更新されるようです。

 ◇『翻訳家の仕事』(岩波書店編集部編)
 http://www.iwanami.co.jp/hensyu/sin/sin_kkn/kkn0612/sin_k334.html

 30数名の翻訳家の方々がお仕事を熱く語ってくださいます。
 翻訳には調査が欠かせません。調べもののヒントをいただけそうです。

                              (色)
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 ■ 私的翻訳の顛末!?

 その昔、ボクは、とある大学の英文学専攻の学生だった。20名の同級生
 のうち、男子は僅か3人。でも、その3人が連日研究室に入り浸り、煙草
 の(文字通り) 煙幕を張って英文研究室をわが物顔に牛耳っていた。

 3年になると卒論に向けて研究テーマが定まってくる。シェークスピア、
 ディケンズ、ロレンス、ヘミングウェイなど、大方の女子は有名作家を
 選択したが、ボクが選んだのはイブリン・ウォー(1903-66)。英国で
 は、夏目漱石クラスの大作家だが、当時の日本ではあまり知られておら
 ず、前人の研究文献(邦文)も意外と少ない。指導教官からは「県下で
 ウォーをやっているのは君ぐらいだろう」と言われ、“選ばれし者の恍
 惚と不安”をニンマリと噛みしめた。“牛後”となるよりも“鶏口”が
 よかろう、という若者特有のアサハカサである。

 が、何しろ作品の翻訳書が少ないのは大きなハンデである。故吉田茂首
 相のご子息である吉田健一氏が訳した代表作『ブライヅヘッドふたたび』
 は古書店で入手できたが、処女作“Decline and Fall”(1928) は原書
 のみ。ならば、自分で翻訳してやろうと思い立った。若気の至りである。

 原書講読の感覚で、辞書と文法書を繰ってどうにかなるだろうと楽観し
 ていたら、これが大間違い。文芸翻訳は、外国の歴史的文化的背景をき
 ちんと把握し、“自然”な日本語に置き換える必要があるのだ。英国の
 パブリックスクール出身の主人公が運命に翻弄されて落ちぶれていく姿
 を滑稽に描いた小説だが、英国における「パブリックスクール」や上流
 階級の風俗がよくわからない。結局、異文化の壁に圧倒され、2/3 ほど
 翻訳したところで敢えなくギブアップした。読み進めてもあまり面白く
 なく、翻訳作業が苦行と化した。酒飲みは最初に吐くまで飲んで、自分
 の酒量を見極めるというが、己の翻訳センス(語学力+調査能力)の限
 界を痛感した瞬間であった。

 その時に思ったのが、外国の文芸作品に描かれる建物や身の回りの小物
 などをビジュアル的にパッと確認できる事典があればなあ、ということ。
 たとえば、ロシア文学を読んでいるとよく出てくるサモアール。「喫茶
 用の湯沸かし器」という注記はあっても、具体的に現物がどんなものだ
 かピンと来ない。それが今では Google のイメージ検索で簡単に調べが
 つくので、いい時代になったもんだなあとつくづく思う。
 
 そう言えば、ダン・ブラウン『ダ・ヴィンチ・コード』には「ヴィジュ
 アル愛蔵版」があり、作中に登場する美術作品や建物、場所、象徴など
 140点を収録している。こういう補足的出版物もアリかな。

                              (竹)

【注】
“Decline and Fall”は、「大転落」「ポール・ペニフェザーの冒険」
「衰亡記」として翻訳されています。ブラック・ユーモア(風刺)とド
 タバタ・ギャグに溢れる逸品です。
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