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 ■ 「東京都平和の日」に考える              田村洋一
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 ■ 「東京都平和の日」に考える              田村洋一

  3月10日は「東京大空襲」(The Tokyo Air Raid)の記念日です。
 1945年のこの日未明、東京の下町一帯は、襲来した米軍のB29爆撃機
 300機あまりが投下した1500トンもの焼夷弾(incendiary / fire bomb)
 で文字通り火の海になりました。正確な数字は確定していませんが、死
 者10万人以上、家を焼かれた罹災者100万人以上と推定されます。即死
 した犠牲者の数でいえば、東京大空襲はヒロシマをも上回る最大級の無
 差別大量殺戮です。これは事実として、もっと多くの人に記憶されるべ
 き出来事でしょう。この空襲は広瀬正「マイナス・ゼロ」や高木敏子
 「ガラスのうさぎ」など、多くの小説やエッセイに登場します。

  東京に生まれた私は、幼少の頃から両親や祖父母から空襲のことを聞
 いていました。周囲には焼夷弾でひどい火傷を負った人もいました。し
 かし、その実状を知ったのは、中学校の図書館で写真集を見てからです。
 道路脇に人の形をした灰色の物体が延々と折り重なるように転がってい
 ます。逃げ場を失い火に包まれて亡くなった犠牲者の姿です。無残な光
 景は当時の城東地区のいたるところで見られたのです。数えきれない遺
 体が早々に集められ、大きな公園を即席の墓地として集団埋葬されまし
 た。戦後になって発掘調査が行われて改葬された例もありますが、既に
 仮埋葬地点がわからなくなり、そのままになっている例も多いといわれ
 ます。東京都は犠牲者名簿を作成し管理しています。2006年3月現在、
 遺族からの申し出で名簿に記載された犠牲者は7万6784人です。行方不
 明者の数は見当もつきません。

  このような「絨毯爆撃」で、まず思い浮かべるのは「ゲルニカ」
 (Guernica)です。スペイン内戦の最中の1937年4月26日、バスク地方の
 町ゲルニカは、フランコ派を支援するナチスドイツ空軍の無差別爆撃で
 壊滅しました。この作戦にはイタリア空軍も参加しています。民間人を
 標的としたこの空襲に憤慨したパブロ・ピカソは、大作「ゲルニカ」を
 描き上げて抗議しました。

  その8年後の1945年2月には「ドレスデン爆撃」(The Bombing of 
 Dresden)がありました。ドレスデンはチェコ国境に近い旧東独にある旧
 都です。英空軍(RAF)と米陸軍航空隊(空軍の前身)の爆撃機が大量の爆
 弾と焼夷弾で無差別爆撃を行い、市中心部は事実上消滅しました。犠牲
 者は少なくとも3万5000人といわれますが、正確な数字の把握は困難で
 す。地上でこの空襲に遭遇し生還したカート・ヴォネガット(Kurt 
 Vonnegut)は、体験をもとに小説「スローターハウス5」
 (Slaughterhouse-Five)を書きました。この爆撃で瓦礫同然の廃墟とな
 っていたドレスデン大聖堂「Frauenkirche」(Church of Our Lady)がよ
 うやく復興したのは2005年10月のことです。総額1億8000万ユーロの再
 建費用のうち約1億ユーロは、爆撃した側の英国人からの寄付金で賄わ
 れました。大ドーム頂上に輝く金色の十字架も英国で製作されたもので
 す。さすがに良心の呵責を感じる人が少なくなかったのでしょう。

  ここまで私は意図的に「空爆」という語を避けてきました。「空襲」
 (air raid)と「爆撃」(bombing)だけで十分だと思うからです。「空襲」
 には機銃掃射やロケット弾による攻撃も含まれます。だいたい爆撃は空
 から行うのに決まっているので「空爆」はおかしいのです。地対地攻撃
 なら「砲撃」か「ミサイル攻撃」です。私の記憶では「空爆」という語
 が現れたのは湾岸戦争で、それ以前のベトナム戦争では「北爆」でした。
 もっと遡って、ロケット兵器「V2」によるドイツの英国攻撃は何と呼ば
 れていたかといえば、「The V2 Attacks」という表現や、単に「落下」
 (fall)が一般的だったようです。超音速で落ちてくるので「爆発音がし
 てからエンジンの爆音が聴こえた」という証言があります。

  「無差別爆撃は戦争犯罪だ」という議論や、なぜ東京大空襲の公的な
 慰霊施設の建設計画が頓挫し「慰霊碑」だけになったのかという大きな
 問題もありますが、ここでは触れる余裕がありません。靖国問題にも共
 通することですが、宗教や政治的信条の違いで慰霊施設が作れないとい
 うのは、それを何かに利用しようという魂胆があるからです。これは江
 戸っ子の感覚には合わない野暮の骨頂です。誰でも日常的な感覚で虚心
 にお祈りできる場所を作るぐらい、その気になれば造作もない話です。
 そして、日本を訪れる外国人に、この国で過去に何があったのかを正確
 に理解してもらうことが大切です。試みに英語版Webページの「Asakusa」
 の案内を10サイトほどチェックしてみたところ、浅草寺が(一部を残し
 て)戦災で焼失し再建されたこと(および雷門は1865年に焼失したまま
 で当時は存在しなかったこと)を正確に説明しているのはごく少数で、
 全く戦災の記述がないものもありました。私たち翻訳者が相互理解に貢
 献できる部分は少なくないはずです。

 ●参考
 ・東京大空襲・戦災資料センター:
  http://www9.ocn.ne.jp/~sensai/
 ・東京都生活文化局「東京都平和の日記念行事」:
  http://www.seikatubunka.metro.tokyo.jp/heiwa.html
 ・Guardian Unlimited(2005年10月31日の記事):
  "Cathedral hit by RAF is rebuilt"
  http://www.guardian.co.uk/germany/article/0,,1605134,00.html

 【著者プロフィール】
  田村 洋一(たむら・よういち)
  東京生まれ。幼稚園に入る前からFENを聴いて育った生粋のビートル
  ズ世代。SEとして日米のコンピュータ会社に勤務し業界の栄枯盛衰を
  目の当たりにしてきた。現在はフリーの翻訳者、編集者。自分の眼を
  信じる美術愛好家でもある。
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 前号で書いたカーリングの「ギブアップ」について、今号に執筆してく
 ださっている田村さんからコメントをいただきました。カーリングがプ 
 チ・ブームになっている今、少々長いのですが、ダイジェストするのは
 もったいない内容ですので、そのまま掲載させていただきます。
                              (み)

 ********************************

 No.100に出ていた「カーリング」(Curling)は、バイアスロンほどで
 はありませんが、日本ではなかなか見られないスポーツです。フランス
 にペタンクというビー玉遊びがありますが、ルールは似ているようで、
 きっと同じルーツがあるのでしょう。もしかしたらケルト文化の名残り
 かもしれません。

 記事で触れられていた「ギブアップ」とは「give-up」でなく、正式に
 は「concede」です。これはゴルフのマッチプレー形式の試合でもみら
 れるルールで、競技を続けても得点の挽回が(計算上)不可能になった
 場合、負けている側が行う「敗北宣言」です。カーリングの1試合は
 「end」と呼ばれる単位、野球で言えばイニングで構成され、1試合は10
 エンドです。「concede」は5エンドを終わった時点、つまり前半終了後
 ならいつでも宣言できることになっているようです。(ローカル・ルー
 ルもあるようですが)

 このあたりの詳細はルールブックに掲載されています。例えば、ヨーロ
 ッパ・カーリング連盟(European Curling Federation)のルールブッ
 クは、http://www.ecf-web.org/rules.html にあります。

 しかし、もっと面白いのは、地方のカーリング・クラブのルールで、例
 えばカナダの「Leaside Curling Club Rules」のルール集です。原則的
 には「Canadian Curling Association (CCA)」のルールブックに従うこ
 とになっているのですが、勝敗よりもゲームを楽しむという大人の遊び
 の姿勢が見える「心得集」になっています。
 http://www.leasidecurling.ca/general_info/Leaside%20Curling%20Club%20rules.pdf

 その「4.0 Game Etiquette」という項目には、次のように書かれていま
 す。

 > "A nice game is a fast game, a fun game is a friendly game"
 > Be friendly to the other team no matter what the score is.

 トリノ・オリンピックで日本チームが英国チームを破ったとき、英国の
 主将はすぐに日本の主将に握手を求めました。ところが、有頂天になっ
 た彼女は相手チームには目もくれず、客席に向かって大げさなジェスチ
 ャで手を振っていました。国際試合の経験が少ないこととはいえ、基本
 的なエチケットすら知らないのか、大変無礼な態度です。私は不快感を
 覚えました。このようなことは日本のスポーツチームによく見られる傾
 向です。「勝敗」や「メダル」に執着するのは試合中だけにして、試合
 が終わったら相手の健闘を讃えるのは基本的な礼儀です。その点で最も
 紳士的なのはラグビーです。ノーサイドのあとの清々しさは他のスポー
 ツ選手も見習うべきものだと思います。ショーアップされた「スポーツ」
 ばかり観ていると、スポーツの本質を忘れてしまうのでしょう。

                           (田村洋一)

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 ■後記
 
 春です。別れの季節です。幼なじみ(女性)が旦那さんの北京転勤にと
 もない引っ越しすることになりました。

「女性があっちから近づいてきても、もともともてる顔をしていないと
 いうことを忘れないように言っておくんだぞ。ご亭主に」と親切な私。

「あのね。もてる顔だから心配なのよ!」とメガネの曇った女。

「違うんだってば、もてる奴は標的にされないんだよ!普段もてない
 から我を見失うんじゃないか」。そうだそうだ。

「なによ!」

「なんだよ!人が親切でいってやってんのに!」
 
 “別れ”が全てしっとりと切ないものとは限らないようでございます。

 一路平安!(お気を付けて、行ってらっしゃい)
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※ 発行人 森本浩介  ※ 編集スタッフ 青木竜馬/竹村雅彦
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