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 ■「山本ゆうじの翻訳道具箱」(その32)        山本ゆうじ
 ■ 電子辞書SHOPからのお知らせ
 ■ O.E.D.を引こう! 〈代打編〉
 ■ 変なカタカナ語撲滅運動
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 ■「山本ゆうじの翻訳道具箱」(その32)        山本ゆうじ

  毎日、英語ばかり、文字ばかり見て疲れた方は、息抜きに、京都やヨ
 ーロッパの風景の写真でもいかがですか。
 http://www.flickr.com/photos/yuji/
  このサイトには自分で撮った写真を見せびらかすための、さまざまな
 機能があります。写真に見るグローバルな「いき」の研究を始めたとこ
 ろなので、ひとつご協力をお願いします(「いき」は、シカゴ大学での
 私の修士論文のテーマでした)。

  さて、前回の続きです。
  翻訳メモリと翻訳ソフトを組み合わせた、効率よい翻訳ワークフロー
 SATILAのためには、どのようなパソコン技能が必要でしょうか。「翻訳
 者のための翻訳ソフト」では、ユーザー辞書が重要であることは何度か
 ご説明したと思います。翻訳ソフトは、一種の「用語適用ツール」です。
 このことは「クライアントから支給された用語集がしっかりしていると、
 翻訳ソフトが活用しやすい」ということでもあります。そして、その用 
 語集がきちんとユーザー辞書に取り込まれていれば、翻訳のかなりの部
 分が自動化できます(もちろん、前回までのコラムで述べてきた要件を、
 翻訳者が満たしていることが前提です)。クライアント支給の用語集が
 あれば、翻訳ソフトの辞書にインポートできるように整形する作業をし
 ます。そのためには、エディタやExcel、翻訳ソフトに含まれる辞書管
 理ツールを使いこなすことが重要です。

  また、用語集にはスペルミスや表記のゆれがあることも少なくありま
 せん。用語集とスタイル ガイド(表記の規則)が矛盾していることも
 あります。TRADOSの用語管理ツールMultiTermの場合では、強力なあいま
 い検索機能があるために、用語集に登録された形にかかわらず、複数形
 や過去形、複合語の一部でも検索できます(そのため用語集の品質が悪
 くても、なんとか使うことができます。逆に言えば、矛盾や問題の多い
 用語集では、MultiTermの活用が重要になってきます)。しかし、翻訳ソ
 フトのユーザー辞書に登録する場合は、必ず原形に直す必要があります。
 また、Wordでのスペルチェックや文章校正が事前に必要な場合もありま
 す。このような場合に、さまざまなソフトをしっかり使いこなすパソコ
 ン技能がないと、用語集の作成に手間取ることになります。

  なお、専門性が高くなればなるほど、訳語の選択肢が狭まり、翻訳ソ
 フトの自動処理でもほぼ適切な訳が出るようになります。専門性が高け
 れば、たとえ訳し分けが必要な場合でも、合理的な理由があるはずです。
 翻訳ソフトが苦手とするのは、「明確な規則性がない場合」なのです。
 「どう訳すか」ということがルールとして定めることができれば、それ
 はすなわち自動化できるということです。もちろん専門性が高い場合に
 は、専門的な用語がすべて用語集で網羅されていることが前提となります。

  残念ながら、クライアント支給の用語集がない場合もあります。一般
 に、翻訳ソフトの能力を十分に引き出すには、用語集があることが望ま
 しいといえます。これはつまり、一定の規模以上の翻訳プロジェクト、
 または特定のクライアントで、一貫して翻訳ソフトを用いると効果が大
 きいということです。翻訳の規模が大きくなればなるほど、労力をかけ
 て作成した用語集が何度も活用されるわけですから、結果的に効率が良
 くなるわけです。用語集の重要性をクライアントにしっかり理解しても
 らえれば、「用語集の作成」を仕事として認識してもらえるはずです。
 用語が統一されていないと、クライアントでのチェックにも時間がかか
 り、また時間の制約があると訳文の品質が落ちますから、結局一番困る
 のはクライアントなのです。

  用語集は、タダでできるもの、単なるおまけと考えてはいけません。
 時間と労力をかけて作る必要があります。十分通じる漢語の訳語がある
 場合に、コンフィギュレーション、イニシャライズ、イネーブル、プリ
 ファレンス、アドレッシング、フラグメンテーション、プロテクション
 など、安易なカタカナ語を使っていないでしょうか。またカタカナの訳
 語の方が浸透しているにもかかわらず、無理に分かりにくい漢語を使っ
 ていないでしょうか。そしてこれらの点で、読み手の理解度を下げてい
 ないでしょうか。また、さまざまな文脈でも問題がないか、翻訳者や翻
 訳の読み手(ユーザー)などからのフィードバックを反映させる仕組み
 はあるでしょうか。翻訳者、翻訳会社、クライアントのどの立場であっ
 ても、用語集(すなわちユーザー辞書の元)を軽視していると、後々困
 ったことになります。逆に矛盾やあいまいさのない用語集を最初にしっ
 かり作っておけば、大幅な効率化と品質の向上が可能なのです。もちろ
 ん、「最初にしっかりしたものを作る」ということは、翻訳メモリにも
 当てはまります。

  以下では、今回ご説明したことを踏まえた、翻訳ワークフローSATILA
 の実例をご紹介しています。
 http://cds.cosmoshouse.com/satila/examples.htm

  ご質問、ご感想、ご要望、ご意見などがありましたら、
 tran@nichigai.co.jp までどうぞ。

  《このコラムは音声認識ソフトを使用して口述で執筆し、音声読み上
 げにより校正しています》

 【著者プロフィール】
  山本 ゆうじ(やまもと・ゆうじ)
  フリーランス実務翻訳者。国際学校 UWC イギリス校で二年間学び、
 筑波大学を経て、シカゴ大学人文学修士号を取得。
 日英仏語で、美学・比較文学・芸術学・文章技法などを学ぶ。

 transPC  【実務翻訳】	 http://transpc.cosmoshouse.com/
 秋桜舎  【文芸談義/文芸翻訳】http://cosmoshouse.com/

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 ■ 電子辞書SHOPからのお知らせ

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 日外アソシエーツ(株)では4月下旬から5月上旬のゴールデンウィーク期
 間中も通常通りに営業しております(土日祝日はお休み)。
 ご注文にも対応できますが、お取り寄せとなる商品につきましては、仕
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 ■ O.E.D.を引こう! 〈代打編〉

 当欄担当の(竹)より泣きが入りました。今回はご勘弁を、と。
 そこで急遽、目の前に座っている長谷川青年を代打に指名しました。
 クリーンヒットとあいなったでしょうか。
                              (青)

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 ◆世界の中心で「愛」を叫ぶ

 皆様こんにちは。
 ピンチヒッターの長谷川です。

 2年以上もの潜伏期間を経て2003年に突然大ヒットした片山恭一の
 「世界の中心で愛を叫ぶ」。
 昨年の今頃は映画も公開され社会現象と化しましたが、そろそろブーム
 も去った気配。
 結局本も映画もドラマも見てないという人、実は多いんじゃないでしょ
 うか。
 ブームにのっかる・・・のも悪いものではないですよ。

 さて、「文学界」(文藝春秋)に高橋源一郎が「ニッポンの小説」とい
 う連載評論を書いていますが、その最新号(2005年5月号)でこの
 「セカチュー」について触れ、「野菊の墓」や「風立ちぬ」などと比較
 しながら、文学における「死」について考察していました。(と書くと
 なんだか浅い考察に思えるかも知れませんが、高橋源一郎はここから古
 井由吉の「野川」につなげていきます。)

 村上春樹の「ノルウェイの森」の影響が顕著だという声はよく聞きます
 が、「野菊の墓」というあたりが渋いですね。
 そこで僕はもっと溯って、明治初期の「愛」という語についてちょっと
 調べてみました。

 「愛」をテーマにした古典的な名作の一つに W.Shakespeare「Romeo and
 Juliet」がありますが、明治43年に坪内逍遥の訳がでるまでに、様々
 な翻訳がなされました。そのなかからいくつか取り上げて比べてみます。

 比べる箇所は、有名なテラスで愛を語り合う場面のロミオの台詞。
 "Call me but love, and I'll be new baptized."

 「Tales from Shakespeare」では、
 "he bade her call him Love or by whatever other name she pleased,"
 となっています。(初期の翻訳では Shakespeare の原本ではなく、こ
 ちらを使った可能性が大きいです。)
 この「love」「Love」という語、当時の翻訳者はどのように訳したので
 しょうか。

 「(ロミオ)ト(ジュリエット)ノ話」(訳者不明、「喜楽の友」明治
 12年)
 "左までに言はるヽならば吾身をラブと呼給へ(可愛人といふ意なり)"

 「欧州奇聞花月情話」(菊亭香水訳「函右日報」明治17年)
 "此身ヲ(Love'(ラブ))ト呼ビテ"
 さらに文末に"筆者曰本文中原語(ラブ)ハ愛スル又ハ恋フト云フが如
 き意味ヲ含メル文字ニシテ猶ホ我国ノ情朗(イロ)ト解シテ可ナルベシ"
 とあります。

 「落花の夕暮」(藤田茂吉、「郵便報知新聞」明治18年)
 "如何なる名にてもおん身の好める名に替へて呼ひたまへ我も亦魯美に
 あらず嗚呼我恋愛に我名を避けん"

 「春情浮世の夢」(河島敬蔵、明治19年5月 耕文舎)
 "君が言葉に従かふほどに我を指して情人と呼びたまへ"

 「仇結奇乃赤縄 西洋娘節用」(明治20年、春煙小史訳)
 "さまで我名を厭ひなバ今より愛(ラーブ)とよびねかしもしや其をも厭
 ひなバなにまれ御身が好む名を附けて心を慰め玉へ"

 いかがでしょうか。「Love」という語の訳に苦心する様子が見て取れま
 す。実は、当時の辞書には「Love」の項には「愛」とあるのみで、恋人
 や愛人という訳がのっていません。さらに「愛」という語自体、日本で
 は主に「仁愛」という普遍的な愛の観念の方が強かったようです。この
 箇所を訳す際には「情朗(イロ)」「情人」という語の方がしっくりき
 たのですね。

                            (長谷川)

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 ■ 変なカタカナ語撲滅運動

 OED evangelist の(竹)です。上記連載を休んだ代わりに本コーナーに
 投稿させていただきます。「変なカタカナ語」という趣旨からは少々外
 れるかもしれませんが、最近、「ほぉ〜」と感心したことをご紹介しま
 しょう。それは朝の通勤電車でのこと。いつものようにギュウギュウ詰
 めの車中で目の前に立った中年オヤジの薄くなった後頭部(バーコード
 状)をぼんやりと眺めながら言いようもない空しさと憤りに駆られ、ふ
 と視線を移すと、某英会話スクールの中吊広告が飛び込んできました。

 それは、陶芸か何かのスクールで一人の日本人の若者がネイティブたち
 に混じって楽しげに談笑しているワンシーンの写真広告。その背景には
「identity」という英単語がキーワードとして入っています。通常、「自
 我同一性」「存在証明」といったお堅い訳語が付けられる西洋的な概念
 ですが、ここでは咀嚼され、こう訳されていました。

   identity:自分に誇りを持てる生き方

 これはなかなか言い得て妙な翻訳だなあと感心しました。コピーライタ
 ーの語学センスの良さが光ります。今日、「アイデンティティ」はその
 ままカタカナ語で通用しますが、無理のない日本語に置き換えてみるこ
 とで改めてその意味を実感できるような気がしませんか。

 というわけで、青木さん。辞書マニア垂涎、ウワサの「特製バールーペ」
 ひとつくださいっ!

                              (竹)


 ☆変なカタカナ語に関する投稿お待ちしております。
 採用させて頂いた方には、特製バールーペを差し上げます。
 tran@nichigai.co.jp まで宜しくお願い致します。


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