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━━━━━━━   コンテンツ・メニュー   ━━━━━━━━━
■ 転ばぬ先の杖 ― 無料で使えるセキュリティツール   高田祐樹
■ 「山本ゆうじの翻訳道具箱」(その3)       山本ゆうじ
■ 翻訳読書ノート7 「マリーの情熱--記録と記憶--」  北田敬子
■ Coffee Break -- 英詩で味わうみすゞの世界 (3) 不思議
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ CD謝恩セールのお知らせ

営業マンの青木です。

行商生活から足を洗ったので、最近はずっと東京にいます。

そのため今年はいつもの年の暮れの様に、JR九州の「つばめレディー」
(No.14をご参照ください↓)と会えそうにありません。残念であります。
  http://www.nichigai.co.jp/translator/mail_mag/mail014.html

さて、お気付きの方もいらっしゃるかもしれませんが、現在電子辞書
SHOPでは謝恩セールを実施しております。
今回はまとめて何点かお買い求め頂いた方にお得なように、最大30%
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パックにした関係で、注文の仕方が多少分かりづらくなってしまいました。

ご不明な点がございましたら、お気軽にメール、電話、FAXでお問い合わせ
下さい。

とっても親切な、担当の一色(いしき)がおこたえします。
(ハズレで青木が当たる場合もございますが、予めご了承下さい)

どうぞ宜しくお願い致します。


【お問い合わせ先】
 日外アソシエーツ 営業本部
 TEL.03-3763-5241 FAX.03-3764-0845
 E-mail tran@nichigai.co.jp

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 転ばぬ先の杖 ― 無料で使えるセキュリティツール

個人でもウィルス対策などでセキュリティ対策をするのが常識になった。
すでに大部分の人が、なんからの対策ソフトをインストールして使用して
いるだろう。だが、いったんインストールしてしまえば万事OKというわけ
ではない。ついつい有料の更新を怠ったりして、新種のウィルスに対処で
きず、重大な結果を招いてしまうことがあるかもしれない。

もし、すべてのツールが無料で使えたら、そんな「つい…」リスクも軽減
できるだろう。というわけで、無料で使用できるツールをご紹介しよう。

◆ 総合ウィルス対策ソフト

AVG Anti-Virus FREE Edition 
 http://www.grisoft.cz/us/us_dwnl_free.php

無料で使用できるウィルス対策ソフトの代表格。
新種のウィルスへの対応も早く、メール送受信の際に自動的に添付ファイ
ルをスキャンする機能など、商用ソフトにひけをとらない充実した機能を
備えている。

ただし、個人ユーザーが家庭内で使用する場合に限って利用が認められて
いるので、会社などの組織単位で導入することはできない。

◆ スパイウェアにご用心

ネットを利用していると、頻繁にポップアップ広告が表示されるように
なった。そんな症状がでたら、いつのまにかスパイウェアを組み込まれて
いる可能性がある。ユーザーのネット利用状況を勝手に報告されるなど、
プライバシーを侵害されていることもあるので注意が必要。

たとえば、Webサイトのアクセスランキングを独自に集計して公表している
alexa.com などがよく知られている。alexa 関連のソフトは、Netscape
Navigator のインストール時に一緒に組み込まれてしまう。途中、ダイア
ログボックスで一応の注意が表示されるのだが、大部分のユーザーはその
意味をよく理解しないままインストール作業を続行してしまう。気が付か
ないうちに、自分のネット活動の一部始終が alexa.com に報告されている
のだ。

スパイウェア発見・駆除ツール
Ad-aware
 http://www.lavasoft.nu/

◆ ファイアウォール

常時接続があたりまえになったこの頃、ネットからの不正アクセスの脅威
に常にさらされている。ブロードバンド・ルーターのパケットフィルター
やNAT機能等を使えば一応の対策にはなるのだが、このあたりは、知識の
ないの一般ユーザーには難しい。

PCにパーソナルファイヤウォールと呼ばれる対策ソフトをインストール
する方がやさしいかもしれない。商用ソフトでは、ウィルス対策と一体
パッケージで販売されている製品が多い。このジャンルにも無料で使用
できるソフトがある。

ZoneAlarm
 http://www.zonelabs.com/

ただし、TCP/UDPポート番号などの知識がないと、ちょっと使いこなすの
が難しいかも。「21番、23番、135番、137〜139番、445番を閉じておくの
は常識だよね!」というくらいの知識は必要かもしれない。使用法を誤る
とネット通信に支障をきたすこともこともあるので注意。当然、そのよう
な場合でもサポートは期待できない。


                          文 高田祐樹


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■ 「山本ゆうじの翻訳道具箱」(その3)入力環境1

入力作業が仕事時間の大半を占める翻訳者の方々は、入力環境もいろいろ
工夫されていると思います。私は、入力環境としては現在、キーボードの
他に、右手にトラックボールとタブレット、左手には左手入力デバイスを
使っています。

入力機器については、全般的に「使い勝手の判断は短時間ではできない」
ということがいえそうです。どのような機器、どのような使い方がその人
に最適かはじっくりと時間をかけて探していく必要があるようです。
私は特にフルタイムで翻訳の仕事を始めてから、快適な入力環境を実現す
るために試行錯誤してきました。現在ではいくつかの機器を使い分けてい
ますが、使い方に慣れ、性能を引き出すためにはやはり時間をかける必要
があるようです。
また、ちょっとした工夫で使い勝手が大きく変わるものもあります。完璧
な入力環境、完璧なキーボードというものには、まだめぐりあっていませ
んが、入力環境を改善するポイントとしては「キーボードからの操作に慣
れる」「よいキーボードを選ぶ」「複数の入力デバイスを使い分ける」
「左手入力デバイスを活用する」などがあると思います。

◆キーボードを活用する

まずは、だれでも使う、そして翻訳者なら普通の人よりもっと使う、キー
ボードから。
ご存じの通り、キーボードからのアプリケーション操作は、いったん慣れ
れば、目的の位置までそのつど移動させる必要があるマウスより、はるか
にすばやく作業することができます。マウスにあまり頼らずにショートカ
ットキー/ホットキー(特定の機能を直接呼び出すキーやキーの組み合わせ)、
アクセスキー(メニューの[ファイル(F)]など。Alt+F で開けます)を
活用することで、特定の機能をすぐに呼び出すことができます。
これらは、「そういうことができるのは知っている」場合でも、ある程度
意識して積極的に身につけるようにしなければ、なかなか使えるようにな
りません。日ごろから手が非効率的な動きをしていないか、もっと便利な
操作方法はないかチェックしてみて、少しずつ効率化の積み重ねをするこ
とにより、最終的な作業効率に大きな違いを生むことができるはずです。

◆ホットキーランチャー

毎日触っているはずのキーボードでも、改めて見直すと、より便利な使い
方が見つかることもあります。たとえば、特に F9 から F12 など、使っ
ていないファンクションキーはありませんか?Scroll Lockキー、Print
Screen/SysRqキー、Pause/Breakキー、Insertキーなどはお使いですか?
「ホットキーランチャー」と呼ばれる種類のソフトウェアを使用すれば、
これらのキーを使わない場合には、アプリケーションやスクリプトの起動
などの機能を割り当てることができます。
Vector〈http://www.vector.co.jp/〉などをキーワード「ホットキー」で
検索すればたくさん見つかります。

◆Windows キーとアプリケーションキー

Windows キーとアプリケーションキーは、活用されていないことも多いの
ですが、使い方によっては非常に便利です。Windows キーを含む Windows
標準のショートカットキーについては、Windowsキー+F1 で Windows の
ヘルプを表示し(これもショートカットキーですね)、キーワード「ショ
ートカット キー 概要」で検索してみてください。また Ctrl、Alt、Shift
キーの組み合わせはそれぞれのアプリケーションでショートカットキーと
してすでに使われていることがほとんどです。しかし、Windows キーは、
これらの標準のショートカットキーの組み合わせを入れ替えず、また個々
のアプリケーションに依存せずにどの場面にでも使える、自分専用のホット
キーの組み合わせに使えます。「Windowsキー」+「ランチャー」という
キーワードで Google 検索してみましょう。Windows キーが使えるホット
キーランチャーがいくつも見つかります。
私は ClefLaunceur〈http://www.gem.hi-ho.ne.jp/beteru/yskzt/softs.html〉
というソフトを使っています。ホットキーランチャーで設定すれば、たと
えば Windows キー+ T という組み合わせでエディタをすばやく起動し、
作業中に頭に浮かんだ思い付きや注意事項などを、さっとメモするといっ
たことができます。また Windowsキー+ C で(Windows の)電卓を、
Windows キー+ D で辞書を起動することもできます。目の前にパソコンが
あるのに、「どうしても紙でないとメモできない」「計算は普通の電卓で」
「辞書はやっぱり紙で」という方もいらっしゃると思いますが、アプリケ
ーションをキーひとつですばやく起動できるようになれば、パソコンの使
い方が変わってきます。

アプリケーションキーは、右クリックメニュー(コンテキストメニュー)
を、(マウスに手を伸ばさずに)「キーボードに手を置いたまま」開くこ
とができます。アクセスキーと併用すればすばやい操作ができます。また
マウスを右クリックすると「マウスポインタがある箇所」でコンテキスト
メニューが開きますが、アプリケーションキーの場合は「現在アクティブ
な箇所」、つまり Word などならばキャレット(縦棒「|」が点滅して
いる箇所)や選択箇所でコンテキストメニューが開きます。つまり語句
などの選択箇所にマウスを移動することなく、その選択箇所に対する操
作をすぐに実行できるわけです。

今回はちょっと長いので、入力デバイスの続きはまた次回に。


【著者略歴】
山本ゆうじ
 フリーランス実務翻訳者。国際学校UWCイギリス校で二年間学び、
 筑波大学を経て、シカゴ大学人文学修士号を取得。
 日英仏語で、美学・比較文学・芸術学・文章技法などを学ぶ。

 transPC  【実務翻訳】	 http://purl.com/transpc/
 秋桜舎  【文芸談義/文芸翻訳】http://purl.com/cosmos/


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■ 翻訳読書ノート7 「マリーの情熱--記録と記憶--」 北田 敬子

マリーという女の情熱に圧倒された、などと書くと如何なる小説のこと
かと問われそうだ。生きた、愛した、仕事した、このマリーは科学者で
ある。『マリー・キュリー1, 2』(スーザン・クイン著 田中京子訳 み
すず書房 1999年)は二十世紀初頭の物理学・化学の発展に抜きんでて
貢献した女性の生涯を躍動的に描いている。最初の伝記作者、マリーの
次女エーヴには触れ得なかった彼女の二度目の恋と破綻、そして科学者
生命をも脅かした大スキャンダルのことも含めて。
それにしても、呆れ果てるほど当時のパリはこのポーランド女性に過酷
だった。
妻帯者ポール・ランジュヴァンとの恋愛糾弾のみならず、ノーベル賞受
賞さえ資格不足だと女性に門前払いを食らわせるフランス学士院の偏狭
さはどうだろう。
そういった攻撃、拒絶、非難をくぐり抜けて蘇るマリーは、現代の言葉
で言えば「サバイバー」と呼ばれるのが一番相応しい。

しかしこの伝記はマリーの個人生活や喜怒哀楽だけに明るいのではない。
それ以上に詳細かつ綿密なのは、一科学者の業績とそれに連動して繰り
広げられる科学・技術の劇的展開の現場を報告することにおいてである。
その詳述を丹念にしかも闊達に日本語にした翻訳者の優れた技量にも触
れないではいられない。科学者の生涯を描くのにその仕事の意味を十分
理解・伝達できなくては始まらない。この翻訳者は原作者の誤認を後書
きで指摘し、マリーへ肩入れしすぎの点をさり気なく批評してくれる。
女性と科学が出会ったのも二十世紀の大きな遺産と特記しておきたいく
らいだ。マリーが自ら発見したラジウムの放射線で体をむしばまれてい
く様子は、科学・技術の「発展」が福音とも災厄ともなる実態をよく伝
え、マリーの名誉回復に最も役立ったのが第一次大戦での医療活動だっ
たことも歴史の皮肉として記録された。マリーの情熱がこの作品を通じ
て将来にも記憶され続けるのは確実だろう。


【著者略歴】
北田敬子(きただ・けいこ)
 東洋学園大学・現代経営学部教授
 東京女子大学英文科卒業後、東京都立大学修士課程英文学専攻修了。
 バージニア大学教育学部にて在外研究。
 専門は英語文学、言語とコミュニケーション
 ホームページURL http://www.kitada.com/keiko/


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■ Coffee Break -- 英詩で味わうみすゞの世界 (3) 不思議

前回、以下の D. P. ダッチャー氏による、金子みすゞ(1903-1930)の英訳
詩をご紹介したところ、読者の方から興味深いご意見をいただきました。

 It's Weird              不思議

 It's weird how             私は不思議でたまらない、
 Shiny silver raindrops fall      黒い雲からふる雨が、
  from black clouds.          銀にひかっていることが。

 It's weird how             私は不思議でたまらない、
 Silkworms turn white          青い桑の葉たべている、
  when they eat green mulberry leaves. 蚕が白くなることが。

 It's weird how             私は不思議でたまらない、
 Moonflowers open at dusk        たれもいじらぬ夕顔が、
  without a poke from anyone      ひとりでぱらりと開くのが。

 It's weird how             私は不思議でたまらない、
 People I ask laugh and sky,      誰にきいても笑ってて、
  "Nothing strange in that."      あたりまえだ、ということが。

             『金子みすゞ童謡集 Something Nice』より


ここでの「不思議」に対して「weird」という negative な意味合いの
英語を当てるのはおかしいのではないか、というご指摘です。

当初、気にも留めませんでしたが、改めて「weird」を辞書で引いてみる
と、確かに negative な語感のようです。OED には次のようにあります。

【weird】
1. Having the power to control the fate or destiny of human beings,
 etc.; later, claiming the supernatural power of dealing with fate
 or destiny.
 Originally in the Weird Sisters = (a) the Fates; (b) the witches
 in Macbeth.

2. Partaking of or suggestive of the supernatural; of a mysterious
 or unearthly character; unaccountably or uncomfortably strange;
 uncanny.

最初にシェークスピアの『マクベス』の「the Weird Sisters」(気味の
悪い三人の魔女) が例示されています。『ジーニアス英和大辞典』による
と、「weird」は eerie, uncanny, unearthly よりはプラスのイメージの
語だそうですが、「奇妙な」「風変わりな」といった negative な意味合
いは強いようです。


一方、みすゞの感じた「不思議」とは、アメリカの海洋学者レイチェル・
カーソン (Rachel L. Carson 1907-1964) の唱えた「Sence of wonder」
に他ならないと思われます。2003年2月、スペースシャトル・コロンビア
号の事故の後、ブッシュ大統領が追悼演説の中で引用したことでも有名
なフレーズですね。

"The seven brave men and women from the Columbia will be remembered
 for their achievements, their heroism and their sense of wonder." 

それは、美しいもの、未知なるもの、神秘的なものに目を見はり、面白がる
感性です。そうしてそれはそのまま、「神を感じる心」に繋がります。


 One Bee, One God      蜂と神さま

 Bee's inside the flower,   蜂はお花のなかに、
 Flower's inside the garden, お花はお庭のなかに、
 Garden's indide the fence,  お庭は土塀のなかに、
 Fence's in town,       土塀は町のなかに、
 Town's in Japan,       町は日本のなかに、
 Japan's in the world,    日本は世界のなかに、
 World's in God.       世界は神さまのなかに。

 And...and, God's inside   そうして、そうして、神さまは、
 A little bitty bee.     小ちゃな蜂のなかに。

             『金子みすゞ童謡集 Something Nice』より


従って、この『不思議』という詩には、「wonder (wonderful)」という
positive な意味合いの英語が相応しい、という結論が導き出されると
いうわけです。たとえば、「私は不思議でたまらない、」は、I can't
stop wondering... という具合に。


では、なぜダッチャー氏は「wonder」ではなく「weird」という英語を
当てたのでしょう?彼は研究社『新編 英和活用大辞典』の編集委員も
務めた親日家であり、言葉には人一倍、敏感な方だと思われます。

これは私の勝手な憶測ですが、ここでの「weird」は「へーんなの」とか
「なんでダロ〜」みたいに軽い口癖のようなニュアンスで、子供の戯れ
言風の味を出しているんじゃないでしょうか。この「weird」という英語
は、日本人には馴染み薄いものですが、アメリカの日常会話(口語)では
一般的によく使われるそうです。

また、第4節目の「誰にきいても笑ってて、あたりまえだ、ということ
が。」という部分は「weird」とぴったり呼応します。それで詩全体を
統一したのではないかと。

しかし、全体に「weird」を使うことで、肝心の「Sence of wonder」の
positive なニュアンスが消えてしまったとしたら、この英訳は(読者
のご指摘通り)失敗かもしれません。皆さんはどう思われますか?

果たして「weird」には、positive な語感はあり得ないのでしょうか。
残念ながら、手元の辞書を引いた限りでは、よくわかりませんでした。
こんなに簡単な童謡詩の中にも翻訳の大きな壁が存在したのは驚きです。
いや、詩の翻訳はそれだけ難しいのでしょう。昔、「小説とは言葉を組
み替えるものだが、詩とは言葉を創るものだ」という話を聞いたことが
あります。どなたか、「weird」の精確な語感についてご教授ください。


ところで『広辞苑 第五版』で「不思議」を引くと以下のようにあります。
こちらも(weird 同様)元々、negative な意味合いの言葉のようですね。

【不思議】
 (不可思議の略)
 (1)よく考えても原因・理由がわからない、また、解釈がつかない
   こと。いぶかしいこと。あやしいこと。奇怪。方丈記「世の―
   をみること、ややたびたびになりぬ。」「―な話」「自然界の
   ―をさぐる」

「不思議」は元来、仏教語「不可思議」の略で、思議すべからざること、
つまり心で思うことも言葉でいうこともできないようなことを指します。
それに対して恐怖心を抱けば negative、好奇心を抱けば、positive な
意味合いに転じるのでしょうか。『広辞苑 第五版』には未掲載ですが、
現在、確かに日本語の「不思議」にはプラスイメージの語感もあります
よね。それは「wonder (wonderful)」という英語の対訳語に「不思議」
を当てた時から始まったのかもしれません。

この辺りの、「不思議」=「wonder」の、negative → positive な意味
合いの変遷は、実に興味深いテーマです。もう少し調べた上で何かわかり
ましたら、また当メールマガジン誌上でご紹介したいと思います。


                             (竹)


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 JULA出版局 1999.6刊 146p 21cm(A5) \2,500(税別)
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 ISBN4-89456-386-X


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