![]() 当コラムは、『読んで得する翻訳情報マガジン』に掲載された記事原稿に加筆補正したものです。 |
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コーパスの魅力 |
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生涯に200冊以上の著作を残した斎藤秀三郎。中には米国ハーバード大学の教科書として使われたものもあるそうですが、その全業績を集大成したと言えるものが『斎藤和英大辞典』です。その魅力を一言で語るならば、コーパスの面白さに尽きるでしょう。もっともcorpus という言葉自体は、まだ斎藤和英の中には見られませんけれども・・・。 斎藤が膨大な文献と格闘してまとめた和英コーパスは、明治期の世相を生き生きと反映しています。非凡な言語感覚により見事な対訳を行ったこと、それが彼の成し得た偉業と言えるのではないでしょうか。 それでは、読み出したら止まらない斎藤和英の対訳の妙の一端をご紹介しましょう。検索性に優れた CD-ROM 版を使って、斎藤の嗜好や時代を色濃く反映したオモシロ例文をランダムに抽出してみました。 いえ〔家〕〈名〉 ◆吉原が明るくなれば家は闇 おんな〔女〕〈名〉 ◆女ならでは夜も日も明けぬ Woman is the light of life. ◆女心と秋の空 Woman is as fickle as April weather. ◆女は化け物 Women know how to transform themselves. じょそんだんぴ〔女尊男卑〕〈名〉 ◆米国は女尊男卑の国だ America is a Paradise for women. ◆米国では近来女尊男卑のふうが大いに減少した できごころ〔出来心〕〈名〉 ◇お前一人と Thou shalt be, in my heart of hearts, にほんぼう〔二本棒〕〈名〉 ◆西洋人は概して二本棒だ Foreigners are generally uxorious. ひゃく〔百〕〈名、形〉 A hundred ◆お前百までわしゃ九十九まで “till death do us part.” もとき〔本木〕〈名〉 ◆本木に勝るうら木無し One will return to one's first love. ところで、斎藤和英は単に古くさい、時代がかった日本語を英訳しただけの辞書ではありません。たとえば、「There is no royal road to learning.」という英語の慣用句。いつの頃からか「学問に王道なし」と訳されるようですが、斎藤和英では次のような見出しの下に現れます。 しょうけい〔捷径〕〈名〉 ◆学問に捷径無し There is no royal road to learning. 「royal road」に対して「王道」という無頓着な訳語を当てないところに、斎藤の、日本語を大事にする細やかな気配りが伺えます。このように辞書としての基礎がしっかりしているため、現在でも英語の勉強に十分役立ちます。英語に携わる人は是非、「斎藤和英」を引いてみてください。「温故知新」の言葉通り、きっと新しい発見がありますよ。 おんこちしん〔温故知新〕〈熟語〉 Carrying knowledge into new fields | |||||||||
| 初出 2001.12.25 (竹) | |||||||||
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